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『世界天文年2009』
ポピュラー・サイエンス 271
ブラックホール天文学入門

京都大学教授 理博 嶺重 慎
四六判/160頁/定価1760円(本体1600円+税10%)/2005年5月
ISBN978-4-7853-8771-6 (旧ISBN4-7853-8771-8)

【世界天文年2009日本委員会公認書籍】

 かつて純粋に理論上の産物であったブラックホールは,観測機器の発達などによって,観測にかかってくる現実の天体となりました.また,「ブラックホール」は,吸い込むばかりで何も生み出さないというイメージでしたが,宇宙でのさまざまな天体活動を引き起こす“黒幕”としての重要な働きがわかってきました.私たちは今まさに,「ブラックホール天文学」の時代に突入しつつあります.
 本書は,ブラックホールの素顔から研究の将来展望までをやさしく解説します.

『ブラックホール天文学入門』 内容見本

著者インタビュー Online Web Magazine アニマ・ソラリス
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→ 裳華房の天文学・宇宙学関連書籍等


【目 次】

『ブラックホール天文学入門』 カバー
まえがき (→こちらから読めます

1.ブラックホールを現実に引き込んだ天文学者たち ―ブラックホール天文学の黎明―
 1.1 ブラックホールの概念の登場
  (1)ブラックホールの古典的描像
  (2)一般相対性理論とシュバルツシルド解
  (3)チャンドラセカールvs.エディントン論争
  (4)オッペンハイマーvs.ホィーラー論争
  (5)「ブラックホール」の誕生
 1.2 大質量ブラックホールの観測史
  (1)クェーサーの発見
  (2)クェーサーの謎:スペクトル
  (3)クェーサーの謎:時間変動
  (4)クェーサーのエネルギー源
 1.3 近接連星系のブラックホール
  (1)近接連星系とは
  (2)連星系ブラックホールにまつわる研究小史

2.ブラックホールはどこにある ―ブラックホール天体論:序論―
 2.1 近接連星系ブラックホール
  (1)近接連星系の分類
  (2)ロッシュ・ローブ・オーバーフロー
  (3)星風による降着
  (4)激変星:半分離型近接連星系の代表
  (5)X線連星系:中性子星の場合
  (6)X線連星系:ブラックホールの場合
  (7)ブラックホール質量の測り方
 2.2 銀河中心の大質量ブラックホール
  (1)活動銀河核の構造
  (2)活動銀河核ブラックホールの質量
  (3)ブラックホール質量をもっと正確に
  (4)ブラックホールと母銀河
  (5)活動銀河核とエコーマッピング
  (6)鉄のX線輝線プロファイル
 2.3 中間質量ブラックホールの登場

3.ブラックホールはなぜ明るく光るのか ―ブラックホール降着円盤学 I :標準円盤―
 3.1 球対称降着
 3.2 円盤降着
  (1)円盤を明るく光らせるには
  (2)粘性の働き
  (3)円盤における粘性
  (4)粘性の正体
 3.3 標準円盤モデル
  (1)標準円盤の特徴
  (2)標準円盤のスペクトル
  (3)標準円盤と観測
  (4)標準円盤モデルの安定性

4.ブラックホールからの高エネルギー放射 ―ブラックホール降着円盤学 II :高温降着流―
 4.1 高温降着流モデル
  (1)標準円盤モデルの限界
  (2)高温降着流の特質
  (3)高温降着流の構造
  (4)高温降着流のスペクトル
  (5)ハード・ソフト遷移
 4.2 磁気流体降着流モデル
  (1)移流優勢流モデルの問題点
  (2)磁気流体シミュレーション
 4.3 スリム円盤モデル
  (1)光子捕捉とスリム円盤モデル
  (2)スリム円盤の構造
  (3)スリム円盤と観測

5.ブラックホール天体活動の秘密を暴け ―ブラックホール天体活動学―
 5.1 X線新星爆発
  (1)矮新星爆発のバースvs.尾崎論争
  (2)円盤不安定性の発見
  (3)リミットサイクルとは
  (4)X線新星の円盤不安定モデル
  (5)リミットサイクルの伝搬
 5.2 もう一つのリミットサイクル
  (1)高温円盤のS字型熱平衡曲線
  (2)理論計算と観測との比較
 5.3 ブラックホールからの放射ゆらぎ
  (1)複雑な光度曲線
  (2)パワースペクトル
  (3)ゆらぎの蟻地獄モデル
  (4)ゆらぎの原因

6.底なしの穴から高速ジェットが噴出する ―ブラックホール・ジェット天文学―
 6.1 ブラックホール・ジェットの観測
  (1)宇宙ジェット研究小史
  (2)宇宙ジェットの相似性
  (3)ジェットのエネルギー源
 6.2 ジェットにまつわる謎
  (1)ジェットの加速機構
  (2)ジェットの収束問題
  (3)ジェットの方向性の維持
 6.3 ジェットの理論モデル
  (1)代表的な理論モデル
  (2)放射を使ったモデル
  (3)磁場を使ったモデル

7.ブラックホールのルーツを探れ ―ブラックホール形成・進化学―
 7.1 恒星質量ブラックホールの形成
  (1)恒星の進化
  (2)超新星爆発によるブラックホール形成
 7.2 大質量ブラックホールの形成
  (1)リース・ダイアグラム
  (2)種族 III 天体からつくる
  (3)星団の中でつくる
  (4)宇宙初期の密度ゆらぎからつくる
 7.3 ブラックホール成長史
  (1)星を飲み込むブラックホール
  (2)クェーサー光度の宇宙論的進化
  (3)現在のブラックホール密度
  (4)ブラックホールと銀河の共存共栄シナリオ
 7.4 ブラックホール形成と進化のまとめ

8.ブラックホールをもっと深く理解したい ―ブラックホール天文学の将来―
 8.1 ブラックホールからの重力波
  (1)重力波とは
  (2)ブラックホール合体と重力波
 8.2 ブラックホールを“観る”方法
  (1)ブラックホールを“観る”とは
  (2)重力マイクロレンズ
  (3)スペースからの電波干渉計
 8.3 まとめ:ブラックホールとは何か
  (1)宇宙の構造形成とブラックホール
  (2)宇宙「システム」の中のブラックホール

 あとがき
 ブラックホール天文学の参考書
 人名索引
 天体名索引
 事項索引

コラム
  JanetからJanetへ
  サイエンティストとは
  円盤不安定派の人々
  頭の中で計算しなさい
  天文学の効用(!?)
  影の立て役者たち



         

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