光を出す光源(星など)と観測者(地球)との間に相対運動があると,
ドップラー効果のために,観測される光の波長λ(または振動数ν)は,
もとの波長λ0からずれます. 光源と観測者の間の相対速度を V とすると, 観測される赤方偏移 z と相対速度 V の間には (相対速度 V が光速 c より十分小さい範囲で), |
実際には,たとえば,
観測者のいる地球は太陽のまわりを公転していますし,
光を出している天体もいろいろな運動をしています.
したがって,
観測者と天体を結ぶ直線(これを視線といいます)の上に,
地球と天体の速度ベクトルを投影し,
その差 V を(見かけの)視線速度といいます.
天体の速度ベクトルの大きさを v,視線となす角をθ,
地球の速度ベクトルの大きさを u,視線となす角をφとすれば,
赤方偏移 z は,
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上のことを利用して,スペクトル線のずれを測定すれば,
天体の視線速度を求めることができます.
視線速度を求めることは分光観測以外の方法ではできません. また,このような観測は天体の距離に関係なく行なうことができます. |
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