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レクチャー 量子力学(II) −4つの基本原理から導く−
Lectures on Quantum Mechanics (II) −Predictions from Four Principles−
北海道大学名誉教授 理博 石川健三 著
A5判/276頁/定価3740円(本体3400円+税10%)/2020年3月発行
ISBN 978-4-7853-2266-3
C3042
本書は、量子力学が「重ね合わせの原理」「正準交換関係」「シュレディンガー方程式」「確率原理」という4つの基本原理を柱とすることを明らかにし、読者が量子力学の全体像を理解・把握し、自らの考えや方法で再構成できるとともに、多様な応用をできるようになることを目標にした。
基礎編ともいうべきT巻に引き続きII巻では、準古典近似(WKB近似)や変分法について述べ、シュレディンガー方程式の理解を深めるとともに、これらを同種粒子の多体系に拡張する。その後、第4原理を加えた4つの原理から導く状態遷移の諸問題を解説した。また、最後の章では、現代物理学の最先端のテーマの一つである量子情報を取り上げ、その基礎的な知識を解説した。
サポート情報
◎ 序 (pdfファイル)
◎ 索引 (pdfファイル)
9.量子力学の4つの柱
10.準古典近似(WKB法)
11.ヘリウム原子と変分近似
12.同種粒子の多体問題
13.定常状態による散乱理論
14.準定常状態(波束)
15.遷移確率:フェルミの黄金律を越えて
16.量子情報
序 (pdfファイル)
9.量子力学の4つの柱
9.1 量子力学の原理:要約
9.1.1 4つの原理
9.1.2 状態の観測
9.2 対称性と不変量
9.2.1 状態の表現
9.2.2 線形ユニタリー表現
9.2.3 反線形ユニタリー表現
9.2.4 変換群のユニタリー表現
9.3 空間反転,時間反転
9.3.1 座標の変換
9.3.2 電場と磁場の変換
9.4 ハミルトニアンと波動関数の不変性
10.準古典近似(WKB法)
10.1 プランク定数での展開:定常状態
10.2 古典極限
10.3 古典極限と初期条件や境界条件
10.3.1 存在確率と滞在時間
10.3.2 古典軌道
10.3.3 干渉
10.4 トンネル効果と境界条件
10.5 束縛状態とボーア-ゾンマーフェルト量子化条件
10.5.1 波動関数の一価性
10.5.2 大きな質量
10.6 3次元球対称な場合
10.7 非定常状態
10.7.1 1次元ポテンシャル問題
10.7.2 第1近似での $U(x)$ 効果
10.7.3 第2近似での $U(x)$ 効果
10.7.4 3次元クーロンポテンシャル
10.8 経路積分
11.ヘリウム原子と変分近似
11.1 変分法
11.2 ヘリウム原子
11.3 ヘリウム原子の変分近似
12.同種粒子の多体問題
12.1 同種粒子の量子力学
12.2 電子のスビンとフェルミ-ディラック統計:多電子原子の波動関数
12.3 多電子原子
12.4 相互作用と近似法
12.5 ハートリー-フォック近似とトーマス-フェルミ近似
12.5.1 ハートリー-フォック近似
12.5.2 トーマス-フェルミ近似
12.5.3 スピンの効果
12.6 元素の周期表
12.7 フント則
12.8 電子ガスと凝集力
12.9 ボース統計に従う光子と黒体輻射
12.10 場の量子化
12.11 ディラック方程式と量子電気力学
12.11.1 ディラック方程式
12.11.2 量子電気力学
13.定常状態による散乱理論
13.1 正エネルギーの連続固有値
13.2 散乱状態の波動関数:部分波展開
13.3 散乱振幅と断面積
13.3.1 確率の流れ
13.3.2 断面積
13.4 リップマン-シュウィンガー積分方程式
13.4.1 逐次近似法
13.4.2 グリーン関数のフーリエ表示
13.4.3 様々なグリーン関数
13.5 散乱振幅の近似計算
13.5.1 WKB近似
13.5.2 ボルン近似
13.6 球形ポテンシャルによる散乱
13.7 クーロンポテンシャルによる散乱
13.7.1 球座標による正エネルギー解
13.7.2 放物線座標におけるシュレディンガー方程式
13.8 散乱振幅の解析性と束縛状態
13.8.1 束縛状態
13.8.2 散乱振幅の解析性
13.9 原子の遷移
13.9.1 原子による電磁波の吸収・放射
13.9.2 電子の弾性散乱と非弾性散乱
13.10 定常散乱の一般論
13.10.1 散乱における保存則
13.10.2 運動エネルギー保存
13.11 縮退状態と状態遷移
13.12 状態のノルムと遷移確率:平面波から波束へ
13.12.1 発散する平面波のノルム
13.12.2 時空間の相関
14.準定常状態(波束)
14.1 自由な波束
14.1.1 ガウス波束
14.1.2 波束の運動
14.1.3 波束の重なり
14.2 波束の大きさと形
14.2.1 光
14.2.2 電子
14.2.3 他の素粒子
14.3 波束の遷移
14.3.1 波束と長距離相関:運動エネルギー保存則
14.3.2 近似的なエネルギー・運動量保存則
14.4 波束粒子の光の放出
14.4.1 自由電子
14.4.2 バルクの寄与
14.4.3 端の寄与
14.4.4 束縛された電子
14.4.5 波束効果の大きさ
14.4.6 原子・分子からの放射
15.遷移確率:フェルミの黄金律を越えて
15.1 ポテンシャルによる量子波束の遷移確率
15.2 1次元箱型ポテンシャル系
15.2.1 自由波束
15.2.2 固有状態(リップマン-シュウィンガー波束
15.2.3 波束(準定常状態)と平面波(定常状態)の比較
15.3 様々なボテンシャル
15.3.1 一定のポテンシャル:固有波束
15.3.2 ポテンシャルの山:固有波束
15.4 3次元系
15.4.1 自由波束
15.4.2 リップマン-シュウィンガー波束
15.4.3 波動関数の初期条件
15.5 補正項の物理効果:現象に効くか?
15.6 原子の励起エネルギー伝達
15.6.1 放射スペクトル
15.6.2 励起エネルギー
15.7 トムソン散乱
15.8 運動エネルギー非保存事象:陽電子消滅における検証
15.9 パイ中間子の電磁崩壊と弱崩壊
15.9.1 荷電パイの弱崩壊:選択則の破れ
15.9.2 中性パイ中間子の2光子崩壊:系統誤差の減少
15.10 原子核反応
15.11 光反応の異常遷移
15.11.1 光散乱における波束の量子効果
15.11.2 水分子の希薄ガス中における放射・吸収の異常
15.11.3 光とフォノン:(1)ラーマン(ブリルアン)散乱
15.11.4 光とフォノン:(2)光のフォノンへの転換
15.11.5 ナノ粒子との散乱
15.12 長距離相関とマクロな量子効果
15.13 $P^{(d)}$ の特異な現象:背景場のエネルギーと普遍背景事象
15.14 量子力学の期待値と熱・統計力学の期待値
15.14.1 演算子の期待値と確率原理
15.14.2 熱平衡からのずれ
第16章 量子情報
16.1 波動関数の時間発展とEPRの長距離相関
16.1.1 実在
16.1.2 混合状態と純粋状態
16.2 EPR長距離相関とエンタングルメント
16.3 量子情報とエントロピー
16.4 デコヒーレンス効果
16.5 量子計算の基礎
16.5.1 Q-ビットとQ-レジスタ
16.5.2 量子フーリエ変換
16.5.3 ショアの仮想計算アルゴリズム
付録
A 頻繁に使う記号
B 一般曲線直交座標におけるベクトル解析
B.1 ベクトルの微分
B.2 デカルト座標
B.3 ベクトル場の積分と積分定理
B.4 球座標
B.5 円柱座標
B.6 放物線座標
B.7 一般の直交曲線座標
B.8 スケール因子のまとめ
C エルミート行列の対角化と2次形式の標準形
C.1 行列の固有値問題
C.2 2次形式の標準形
C.3 2つの行列の同時固有値問題
D 特殊関数
D.1 ガンマ関数
D.2 ルジャンドルの微分方程式とルジャンドル多項式
D.3 エルミートの微分方程式とエルミート多項式
D.4 ベッセル関数
D.5 エアリー関数
D.6 超幾何関数
D.7 ラゲール多項式
E フーリエ級数とフーリエ展開
F 複素関数論
F.l 複素数の四則演算と関数
F.2 複素微分
F.3 複素積分
F.4 リーマン面
G クラスター展開
H 超関数
さらなる理解のために
古典的名著
現代的な視点の教科書
入門的な教科書
“散乱”に関する教科書
EPR相関,量子情報と量子計算
宇宙物理学や地球物理学への応用
データセンター
基礎物理定数表
参考文献
章末問題解答
索引 (pdfファイル)
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石川 健三
いしかわ けんぞう
1976年 東北大学大学院理学研究科修了。米UCLA研究員、独DESY研究員、米CUNY研究員、北海道大学助教授・教授などを歴任。専門は素粒子論、物性理論。主な著書に『場の量子力学』『解析力学入門』(以上 培風館)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
レクチャー 量子力学(I)
量子力学(I) (新装版)
量子力学(II) (新装版)
量子力学(I)
量子力学(II)
量子力学
初等量子力学(改訂版)
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