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『低次元導体(改訂改題)』 カバー


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物性科学選書 
低次元導体(改訂改題) −有機導体の多彩な物理と密度波−
Low-Dimensional Conductors −Physics of Organic Conductors and Density Waves−

在庫マーク

東京大学名誉教授 理博 鹿児島誠一 編著/ 
鹿児島誠一・三本木 孝・長沢 博・高橋利宏 執筆

A5判/390頁/定価5940円(本体5400円+税10%)/2000年5月25日発行
ISBN 978-4-7853-2610-4 (旧ISBN 4-7853-2610-7)  C3042
(オンデマンド方式による印刷・製本)

 本書は、物性科学選書の第1巻『一次元電気伝導体』を全面的に改訂したものである。
 1982年の初版刊行以来、有機導体などの1次元電子系の物性研究は、躍進していくつもの分流を生み出し、その分流がそれぞれに発展・成長を遂げている。この状況に対応するために、2000年に新たな執筆者を加えて改訂し、書名も内容をよく表すように変更した。


目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.低次元物質とその電子構造
2.1次元電子系のパイエルス転移
3.密度波のダイナミクス
4.クーロン相関と磁性
5.超伝導
6.物質総覧

詳細目次

刊行趣旨/はしがき

1.低次元物質とその電子構造
 1.1 低次元導体の世界
  1.1.1 次元性と物性科学
  1.1.2 有機低次元導体
 1.2 伝導帯の形成と低次元性
  1.2.1 1原子電子状態から多原子電子状態へ
  1.2.2 周期ポテンシャル中のブロッホ電子状態
  1.2.3 ほとんど自由な電子のモデル
  1.2.4 強束縛電子のモデル
  1.2.5 フェルミ波数・フェルミ準位・フェルミ速度
  1.2.6 バンドの充満と電気伝導
 1.3 フェルミ面とその形状
  1.3.1 低次元フェルミ面の3次元表現
  1.3.2 フェルミ面の再構成
 1.4 電気伝導と低次元フェルミ面
  1.4.1 電気伝導メカニズム
  1.4.2 ボルツマンの輸送方程式
  1.4.3 現実の低次元導体の電気伝導
  1.4.4 磁気抵抗
  1.4.5 ランダウ量子化とド・ハース効果
 1.5 分子性物質の特徴
  1.5.1 分子性物質の結合力
  1.5.2 分子の役割分担
  1.5.3 分子修飾と化学圧力
 文献

2.1次元電子系のパイエルス転移
 2.1 分極関数
  2.1.1 金属電子に対する周期場の摂動
  2.1.2 摂動のもとの電子状態
  2.1.3 分極関数とフェルミ面のネスティング
 2.2 パイエルス転移
  2.2.1 周期的格子ひずみによるパイエルス転移
  2.2.2 電子間クーロン相互作用とフェルミ面のネスティング
 2.3 コーン異常とパイエルス転移温度
  2.3.1 電子‐格子相互作用とフレーリッヒハミルトニアン
  2.3.2 コーン異常
  2.3.3 パイエルス転移の転移温度と秩序パラメター
 2.4 密度波と電気伝導
  2.4.1 電荷密度波とスピン密度波
  2.4.2 密度波による電気伝導
 2.5 低次元系のゆらぎ
  2.5.1 1次元系のゆらぎ
  2.5.2 ゆらぎと擬ギャップ
  2.5.3 3次元性と現実の相転移
 文献

3.密度波のダイナミクス
 3.1 密度波状態の構造
 3.2 “波”の集団励起
 3.3 位相の運動
 3.4 密度波のピン止め
  3.4.1 不純物によるピン止め
  3.4.2 整合性によるピン止め
 3.5 位相ソリトン(“粒子”の励起)
 3.6 密度波の運動
  3.6.1 交流伝導度
  3.6.2 密度波の並進運動(スライディング)
  3.6.3 しきい電場
 3.7 狭帯域雑音(NBN)
 3.8 密度波とノーマル粒子の相互作用
 3.9 密度波の内部変形
 3.10 その他の話題
 文献

4.クーロン相関と磁性
 4.1 電子相関
  4.1.1 電子相関とは
  4.1.2 スクリーニング
 4.2 電子の磁性
  4.2.1 自由電子の磁性
  4.2.2 ハバード模型
  4.2.3 相互作用がある場合の磁化率(分子場近似)
  4.2.4 $2k_\rm{F}-\rm{SDW}$
 4.3 フェルミ流体論
  4.3.1 準粒子,分布関数
  4.3.2 系のエネルギー
  4.3.3 平衡状態の性質
  4.3.4 運動量分布
 4.4 朝永‐ラッティンジャー液体
  4.4.1 スピンと電荷の分離
  4.4.2 相関関数のべき乗則
 4.5 強束縛ハバード模型
  4.5.1 ハバードギャップ
  4.5.2 $4k_\rm{F}-\rm{SDW}$
  4.5.3 局在スピン間の有効相互作用
 4.6 スピン‐パイエルス転移
 4.7 長距離クーロン相互作用
 4.8 磁場誘起 $\rm{SDW}$
  4.8.1 擬1次元系の $\rm{SDW}$:Yamaji理論
  4.8.2 磁場誘起 $\rm{SDW}$
 文献

5.超伝導
 5.1 超伝導とは
  5.1.1 抵抗ゼロと完全反磁性
  5.1.2 ロンドン方程式と磁場の侵入長
  5.1.3 Pippardのコヒーレンス長
  5.1.4 エネルギーギャップ
  5.1.5 GL理論
  5.1.6 磁束の量子化とジョセフソン効果
  5.1.7 第二種超伝導
  5.1.8 有機物の超伝導
 5.2 BCS理論
  5.2.1 クーパー問題
  5.2.2 BCSの基底状態
  5.2.3 ギャップ方程式
 5.3 超伝導の対称性
  5.3.1 異方的超伝導
  5.3.2 スピン3重項超伝導
  5.3.3 超伝導ギャップの観測
  5.3.4 スピン3重項状態の検証
 5.4 引力の機構
  5.4.1 BCS機構
  5.4.2 Littleの励起子機構
  5.4.3 スピンゆらぎによる引力
  5.4.4 その他の機構
 5.5 低次元性と超伝導
  5.5.1 低次元ゆらぎ
  5.5.2 磁束のダイナミクス
 5.6 酸化物高温超伝導体との比較
 文献

6.物質総覧
 6.1 電荷密度波系
  6.1.1 不整合電荷密度波をもつ物質:$\rm{TTF‐TCNQ}$ とその類似物質
  6.1.2 整合電荷密度数をもつ物質:$\rm{NMP‐TCNQ}$ と $\rm{TMTSF‐DMTCNQ}$
  6.1.3 遷移金属トリカルコゲナイド($MX_3$)
  6.1.4 $(MX_4)$$_n\rm{Y}$
  6.1.5 ブルーブロンズ($\rm{A_0.30}\rm{MoO_3}$)
  6.1.6 原子価揺動物質:KCP
 6.2 スピン密度波系とスピンパイエルス系
  6.2.1 スピン密度波と超伝導の競合:$(\rm{TMTSF)_2}X$
  6.2.2 スピンパイエルス相と整合,不整合スピン密度波相:$(\rm{TMTTF)_2}X$
  6.2.3 スピン密度波とスピンパイエルス状態の関係
  6.2.4 スピンパイエルス転移の典型物質 $\rm{MEM‐(TCNQ)}_2$
  6.2.5 その他のスピンパイエルス系
 6.3 アクセプター系有機導体:$\rm{M(dmit)_2}$塩
  6.3.1 $\rm{Ni(dmit)_2}$塩
  6.3.2 $\rm{Pd(dmit)_2}$塩
 6.4 1次元性と高次元性の関係
  6.4.1 $(\rm{BEDT‐TTF})_2\rm{X}$ の2次元性と1次元性
  6.4.2 非対称ドナー系:$(\rm{DMET})_2\rm{X}$
  6.4.3 $(\rm{R_1}{R_2}{DCNQI})_2{Cu}$ の金属絶縁体転移
 文献

索引

著作者紹介

鹿児島 誠一
かごしま せいいち 
1945年 大阪府に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。工業技術院電子技術総合研究所研究員、東京大学助教授・教授、明治大学客員教授などを歴任。主な著書・訳書に『自然現象と物理法則のあいだ』(丸善出版)、『サーウェイ 基礎物理学 I.力学』(共訳、東京化学同人)などがある。

三本木 孝
さんぼんぎ たかし 
1937年 北海道に生まれる。北海道大学理学部卒業、北海道大学大学院理学研究科修了。松下電器(株)東京研究所研究員、北海道大学教授、北海道情報大学教授などを歴任。北海道大学名誉教授、理学博士。

長沢 博
ながさわ ひろし 
1936年 京都府に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院数物系研究科専門課程修了。東京大学助手、東京教育大学助教授、筑波大学教授などを歴任。筑波大学名誉教授、理学博士。

高橋 利宏
たかはし としひろ 
1947年 岩手県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科専門課程修了。筑波大学技官、パリ南大学固体物理学研究所研究員、学習院大学助教授・教授などを歴任。学習院大学名誉教授、理学博士。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


姉妹書
「物性科学選書」

この著作者の本
『固体物理学』
固体物理学



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