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化学サポートシリーズ
スピン化学 −化学結合論再入門−
Spin Chemistrty −Another Introduction to Chemical Bond Theory−
元 理化学研究所 理博 坂口喜生 著
A5判/160頁/定価2750円(本体2500円+税10%)/2005年9月20日発行
ISBN 978-4-7853-3413-0 (旧ISBN 4-7853-3413-4)
C3043
「スピン化学」には「磁場で化学現象が変わるか」と「有機化合物で磁石は作れないだろうか」を主題としたものの2つの流れがあるが、本書はその前者に視点をおいて書かれている。大学の教養レベルの化学を学んだ方が、自らの興味や大学院の進路検討のためにも読めることを目標にした。さらに高校の化学の知識だけでもわかるように無定義の専門語は使わないよう配慮した。
1.宇宙は磁石でいっぱい?
2.スピン化学のための量子力学 ―酸素分子は磁石―
3.磁場で化学反応を変える ―エネルギーではかなわないけれど―
4.磁気共鳴現象 ―スピンは語る―
5.有機化合物で磁石を作る ―鉄でなくとも磁石はできる―
はじめに
1.宇宙は磁石でいっぱい?
1.1 スピン化学とは
1.2 磁場とは
1.3 電場と磁場
1.4 化学反応を磁場で変える
1.5 有機化合物で磁石を作る
2.スピン化学のための量子力学 ―酸素分子は磁石―
2.1 シュレーディンガー方程式
2.1.1 原子の軌道
2.1.2 分子の軌道
2.1.3 軌道間の相互作用
2.2 電子を詰める
2.2.1 スピン関数と多重項状態
2.2.2 基底状態とパウリの排他則
2.2.3 励起状態
2.2.4 一重項状態と三重項状態
2.2.5 フントの規則
2.3 スピンの向きを変える
2.3.1 スピン−軌道相互作用
2.3.2 スピン−スピン相互作用
2.3.3 ラーモア歳差運動とゼーマン分裂
2.3.4 電子スピン共鳴
3.磁場で化学反応を変える ―エネルギーではかなわないけれど―
3.1 物理的な磁場効果
3.2 磁場効果はない?
3.3 ラジカル対機構
3.3.1 ラジカル対
3.3.2 S−T0混合
3.4 ラジカル対の発生
3.5 ラジカル対の項間交差 −Δg 機構とhfc機構
3.5.1 核スピン
3.5.2 hfc機構
3.6 ラジカル対の再衝突
3.7 Δg 機構による磁場効果
3.8 動的に見た磁場効果
3.8.1 hfc機構の寄与
3.8.2 散逸ラジカルの磁場効果
3.9 磁場依存性の典型例
3.10 レベルクロッシング機構
3.11 ミセル溶液中の磁場効果
3.11.1 緩和機構
3.11.2 電子スピンの緩和
3.11.3 g 値の異方性による緩和
3.12 磁気同位体効果
3.13 シュタイナーの三重項機構
3.14 ラジカル対を含まない磁場効果
3.15 より高いスピン多重度の関わる磁場効果
3.16 固相・気相の磁場効果
3.17 より大きな磁場では?
4.磁気共鳴現象 ―スピンは語る―
4.1 化学誘起動的電子分極(CIDEP)
4.1.1 S−T0機構
4.1.2 S−T−1機構
4.1.3 三重項機構(p-type)
4.1.4 シュタイナーの三重項機構
4.2 スピン相関ラジカル対スペクトル
4.3 収量検出磁気共鳴(RYDMR)
5.有機化合物で磁石を作る ―鉄でなくとも磁石はできる―
5.1 有機磁性体
5.1.1 反磁性,常磁性,強磁性
5.1.2 フェリ磁性,フェロ磁性
5.1.3 常磁性と磁化率
5.2 分子内の電子スピンの整列
5.2.1 共役系での磁性発現
5.2.2 カップラー
5.2.3 スピンの倍増
5.3 分子間の強磁性相互作用
5.3.1 マッコーネルのメカニズム1
5.3.2 電子移動相互作用・マッコーネルのメカニズム2
5.4 ニトロニルニトロキシド誘導体の磁性
5.5 光を利用した機能性の賦与
索引
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坂口 喜生
さかぐち よしお
東京大学理学部卒業、東京大学大学院博士課程修了。日本学術振興会奨励研究員、理化学研究所副主任研究員、埼玉大学客員教授などを歴任。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
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