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タンパク質科学 −生物物理学的なアプローチ−
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大隅良典博士 推薦! (2016年 ノーベル生理学・医学賞受賞) 『すべての生命活動はタンパク質によって担われている。タンパク質の基礎から最先端の動向までを学べる優れたテキストである』 |
2004年に刊行した『バイオサイエンスのための 蛋白質科学入門』は、東京工業大学生命理工学部での講義「蛋白質科学」の講義ノートを元に加筆・再構成したもので、幸い読者の皆様から好評を得ることができ、増刷を重ねてきた。しかし、初版発行からすでに16年が経過し、この間、タンパク質概念の変更を迫るようなものも含め、数多くの発見があった。そこで、それらの新知見を補完し、また多色刷りによって大幅にリニューアルしたのが本書である。
多数の美麗な立体構造図を示しながら、タンパク質の基礎から最先端の動向までをわかりやすく解説する。
◎ 教科書採用の先生方に講義用の図表ファイルをご用意しました.
ファイルのご利用は講義のみに限らせていただきます.
◎ まえがき
◎ 索引 (以上 pdfファイル)
【書評】化学ポータルサイト「Chem-Station」(2021/10/28掲載)
◎ 正誤表 (pdfファイル)
1.タンパク質とは何か
2.タンパク質の高次構造
3.タンパク質の立体構造を安定化する力
4.ポリペプチドの折りたたみ(フォールディング)
5.タンパク質のサブユニット構造
6.タンパク質の生合成
7.タンパク質と低分子リガンドの結合
8.タンパク質分子の相互作用
9.消化酵素・細胞内プロテアーゼ・エネルギー依存性タンパク質分解システム
10.超分子タンパク質集合体
11.タンパク質の概念に大きな影響を与えた発見
12.ゲノムとタンパク質 −タンパク質科学の新しい局面−
まえがき (pdfファイル)
1.タンパク質とは何か
1.1 遺伝子からタンパク質へ
1.2 タンパク質を構成するアミノ酸
1.2.1 疎水性アミノ酸
1.2.2 親水性アミノ酸
1.2.3 硫黄を含むアミノ酸
1.2.4 アミノ酸の解離基と等電点
1.3 ペプチド結合
2.タンパク質の高次構造
2.1 タンパク質の階層構造
2.2 ラマチャンドランプロット(φ-ψプロット)
2.3 二次構造
2.3.1 αへリックス(310へリックス・πへリックス)
2.3.2 βシート(βヘアピン・βスパイラル・βへリックス)
2.3.3 ターン構造
2.4 超二次構造と構造モチーフ
2.5 ドメイン
2.6 タンパク質(ドメイン)の構造に基づく分類
2.6.1 可溶性球状タンパク質
2.6.2 繊維状タンパク質
2.7 膜タンパク質
2.8 複数のドメインからなるタンパク質
2.9 単純タンパク質と複合タンパク質
2.10 天然変性タンパク質
2.11 タンパク質の動的構造:ゆらぎ
3.タンパク質の立体構造を安定化する力
3.1 共有結合と非共有結合
3.2 静電相互作用
3.3 ファンデルワールス力
3.4 水素結合:二次構造の主役
3.5 疎水性相互作用と水の構造
3.6 タンパク質の変性と立体構造形成
3.6.1 変性の測定と解析
3.6.2 熱変性
3.6.3 尿素または塩酸グアニジンによる変性
3.7 極限環境下で機能するタンパク質
3.8 塩析と塩溶
3.9 分子内相互作用と濃度効果
4.ポリペプチドの折りたたみ(フォールディング)
4.1 アミノ酸配列に基づく折りたたみ
4.2 レヴィンタールのパラドックスとモルテングロビュール
4.3 分子シャペロン
5.タンパク質のサブユニット構造
5.1 ドメイン 対 サブユニット
5.2 サブユニット間相互作用
5.3 サブユニット集合の対称性と熱力学
5.4 アロステリック酵素
5.5 ヘモグロビンのサブユニット間相互作用
5.6 ドメインスワッピング
5.7 タンパク質の立体構造決定法
5.7.1 X線結晶構造解析
5.7.2 クライオ電子顕微鏡法
5.7.3 NMR(核磁気共鳴法)
6.タンパク質の生合成
6.1 リボソームの立体構造
6.2 アミノアシルtRNAの形成
6.3 ポリペプチドの生合成
6.4 新生ポリペプチド研究の新しい展開
6.5 タンパク質の行き先を決める標識
7.タンパク質と低分子リガンドの結合
7.1 リガンドについて
7.2 リガンド結合の測定
7.3 タンパク質1分子当たり1個の結合部位がある場合
7.4 複数の独立な結合部位がある場合
7.4.1 すべての部位が同一で独立な場合
7.4.2 非等価な複数の部位への結合
7.5 協同的な結合
7.5.1 “all-or-none”(全か無か)の場合
7.5.2 協同的な結合のモデル
7.5.3 ヘテロトロピック効果とアロステリック酵素
7.5.4 スキャッチャードプロットとヒルプロットによるアロステリックな結合の診断
7.6 タンパク質の滴定曲線と等電点
7.7 リガンドの結合と酵素反応
8.タンパク質分子の相互作用
8.1 同種分子どうしの会合 −単量体と二量体の間の平衡−
8.2 リガンドを介する会合
8.3 異なる分子種間の会合
8.3.1 反応速度と反応定数
8.3.2 平衡定数の単位について
8.3.3 会合反応の自由エネルギー
8.4 タンパク質の自己集合とクラウディング効果
8.5 タンパク質・核酸相互作用
8.6 タンパク質分子の解離・会合の測定
8.6.1 超遠心分析(AUC)
8.6.2 静的光散乱(SLS)
8.6.3 動的光散乱(DLS)
8.6.4 X線小角散乱(SAXS)
8.6.5 表面プラズモン共鳴法(SPR)
8.6.6 等温滴定型カロリメトリー(ITC)
9.消化酵素・細胞内プロテアーゼ・エネルギー依存性タンパク質分解システム
9.1 消化酵素 −細胞外プロテアーゼ−
9.2 セリンプロテアーゼの反応機構
9.3 細胞内プロテアーゼ
9.4 ユビキチン化とプロテアソーム
9.5 オートファジー(自食作用)
10.超分子タンパク質集合体
10.1 線状(らせん)集合体の構造
10.2 らせん集合体の形成 −アクチンのG-F変換−
10.3 らせん集合体形成の熱力学的モデル
10.4 アミロイドの形成 −アミロイドーシス−
10.5 球殻集合体
10.6 細菌べん毛
10.7 バクテリオファージの分子集合
11.タンパク質の概念に大きな影響を与えた発見
11.1 分子シャペロン
11.2 リボザイム
11.3 プリオン
11.4 天然変性タンパク質
12.ゲノムとタンパク質 −タンパク質科学の新しい局面−
12.1 非翻訳領域の役割の解明
12.2 リボソームプロファイリング
12.3 弱い相互作用に基づくタンパク質集合体
12.4 液-液相分離
12.5 タンパク質と進化
12.5.1 分子進化と中立説
12.5.2 進化の系統樹
参考文献・引用文献
索引 (pdfファイル)
コラム
1.1 タンパク質のアミノ酸の種類が20と決定されるまで
1.2 ペプチド結合の平面性とポーリング
2.1 アラインメント
2.2 アミノ酸配列データベース
2.3 プロテインデータバンク(PDB)
4.1 円二色性スペクトルと二次構造
4.2 ストップト・フロー装置
6.1 リボソームの結晶化:アダ・ヨナス(Ada E. Yonath)博士
7.1 アロステリックモデルの発展小史
11.1 アブザイム(抗体酵素)
有坂 文雄
ありさか ふみお
1948年 神奈川県に生まれる。東京大学教養学部卒業、東京大学理学系大学院修士課程修了、米国オレゴン州立大学大学院博士課程修了。スイスバーゼル大学バイオセンター博士研究員、北海道大学助手、東京工業大学助教授・教授などを歴任。主な著書・訳書に『タンパク質のかたちと物性』(共編、共立出版)、『タンパク質のアモルファス凝集と溶解性』(監修、シーエムシー出版)、Cooper著『クーパー生物物理化学』(化学同人)、Fersht著『タンパク質の構造と機構』(共訳、医学出版)などがある。
(情報は初版刊行時のものです)
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.