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遺伝子と性行動 −性差の生物学−
Genes, Circuits and Sexual Behavior: A Biology of Gender
東北大学名誉教授 理博 山元大輔 著
A5判/216頁/定価2640円(本体2400円+税10%)/2012年4月発行
ISBN 978-4-7853-5851-8
C3045
行動遺伝学は、遺伝学の一部でもあり、行動学の一部でもあり、また神経科学の一部でもある。それは、個体の行動が、直接的には脳神経系によって生み出されるアウトプットであること、そして脳神経系の構造と機能の基本デザインが遺伝子によって与えられることに基づいている。
本書は、キイロショウジョウバエで急速に発展した行動遺伝学の特定の部分、つまり、性行動を対象に単一遺伝子の機能の発現という要素還元的な発想と手法で行われた研究にフォーカスを当て、研究の時間的流れに沿うかたちでこれまでの成果を紹介している。これから行動遺伝学を学ぶ学生から専門家まで幅広い読者層に楽しんで頂けることであろう。
1.ショウジョウバエ行動遺伝学の幕開け
2.分子レベルの行動遺伝学
3.行動の源を脳に探る
4.fruitless−同性愛突然変異体の登場
5.脳の性的二型の発見
6.脳の性差から行動の性差へ
7.脳と行動をコントロールする
8.ハエとヒトの遺伝子と脳と行動
まえがき (pdfファイル)
1.ショウジョウバエ行動遺伝学の幕開け
1.1 古典遺伝学による行動研究
1.2 分子遺伝学の黄金時代
1.3 ベンザーの走性研究
1.4 本能行動と学習の研究
2.分子レベルの行動遺伝学
2.1 分子遺伝学の飛道具
2.2 行動分子遺伝学のモデルケースとなったperiod 遺伝子研究
2.3 period 遺伝子の進化的保存と多様性
3.行動の源を脳に探る
3.1 モザイク解析の原理
3.2 行動をつくりだす体内部位の推定
3.3 脳神経系の活動を人為的に操作する方法
4.fruitless−同性愛突然変異体の登場
4.1 偶然見つかった大物突然変異体fruitless
4.2 ショウジョウバエの性決定はスプライシングが決め手
4.3 サトリ突然変異体によってもたらされた転機
4.4 fruitless 遺伝子の正体
5.脳の性的二型の発見
5.1 脳の種分化をハワイのハエで探求
5.2 同じフェロモン情報に雌雄は違った解釈を与える
5.3 脳の一つ一つのニューロンに性差を見る
5.4 一つの同じニューロン集団が雌雄で違った形に発達する
6.脳の性差から行動の性差へ
6.1 雌に雄の行動をとらせるには,どのニューロンを雄化すればよいか
6.2 ニューロンを強制的に興奮させて性行動を引き起こす
6.3 性フェロモンを感じる味受容ニューロン
6.4 嗅覚で感知されるフェロモンの中枢処理
7.脳と行動をコントロールする
7.1 脳の情報処理を理解するために必要な生理学の基礎知識
7.2 どのようにして脳細胞の活動を観測するのか
7.3 行動している雄の脳のP1 ニューロンがフェロモンで興奮する
8.ハエとヒトの遺伝子と脳と行動
8.1 脊椎動物の脳の性的二型
8.2 細胞自律的性決定と細胞非自律的性決定
8.3 性の進化
引用文献
行動遺伝学における歴史年表
索引
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山元 大輔
やまもと だいすけ
1954年 東京都に生まれる。東京農工大学大学院農学系研究科修士課程修了。三菱化学生命科学研究所研究員・室長、科学技術振興事業団 山元行動進化プロジェクト総括責任者、早稲田大学教授、東北大学教授などを歴任。現在 情報通信研究機構未来ICT研究所室長。主な著書・訳書に『最新 応用昆虫学』(共著、朝倉書店)、『行動はどこまで遺伝するか』(SBクリエイティブ)、ツーパンク著『行動の神経生物学』(翻訳、シュプリンガー・ジャパン)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
行動遺伝学入門
動物行動の分子生物学
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