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植物遺伝学 V
生態遺伝と進化

京都大学名誉教授　理博　木原　均 監修／
元 国立遺伝学研究所　農博　酒井寛一 編集

Ａ５判／562頁／定価16500円（本体15000円＋税10％）／1982年7月発行
ISBN 978-4-7853-5905-8（旧ISBN 4-7853-5905-6）　 C3045

　「植物遺伝学」シリーズの最終巻にあたる本書では、今までの４巻とは趣を異にして、遺伝学と他の生物学分野との境界領域の問題を扱った。本書の前半は遺伝学からの植物生態学への接近に費やされ、後半は植物進化の動きを様々な立場とレベルからの追及の解説にあてた。

目次 （章タイトル）　　→ 詳細目次

1．集団の繁殖と構造
2．競争と適応
3．分化と種形成
4．系統進化

詳細目次

監修者の言葉
編集者の序言

1．集団の繁殖と構造
　1.1　繁殖体系
　　1.1.1　繁殖方法の変異
　　1.1.2　受粉の機構
　　1.1.3　繁殖体系と適応
　　文献
　1.2　選択と変異の保有
　　1.2.1　自然選択の場
　　1.2.2　遺伝的浮動
　　1.2.3　遺伝的荷重
　　1.2.4　再生産戦略
　　文献
　1.3　隔離と導入
　　1.3.1　隔離機構
　　1.3.2　進化作用としての隔離
　　1.3.3　隔離機構の崩壊と導入
　　文献
　1.4　集団の遺伝的構造
　　1.4.1　集団構造の基礎的知見
　　1.4.2　自然集団における変異の分析
　　1.4.3　量的形質と表現型可変性
　　1.4.4　変異の保有と個体数の維持
　　1.4.5　集団の適応的分化
　　1.4.6　集団間差異測定の理論
　　文献

2．競争と適応
　2.1　生態型
　　2.1.1　生態型の一般的特性
　　2.1.2　雑草の適応性と分化
　　文献
　2.2　生態学の立場からみた適応戦略と個体群統計学
　　2.2.1　植物の個体群統計学
　　2.2.2　植物の生活史と適応度
　　2.2.3　適応戦略の理論
　　2.2.4　植物の生命表と生存曲線
　　文献
　2.3　メンデル集団の競争と混系集団
　　2.3.1　品種間競争の実験
　　2.3.2　集団の中の競争
　　2.3.3　競争力の遺伝と進化
　　2.3.4　遺伝子型混系集団の競争
　2.4　植物社会と種間競争
　　2.4.1　植物社会の誕生と生長
　　2.4.2　裸地と植物の侵入
　　2.4.3　植物の追出しとすみ分け
　　2.4.5　種の多様性
　　文献

3．分化と種形成
　3.1　地理的分布
　　3.1.1　作物における地理的分布の規則性
　　3.1.2　適応的分布
　　文献
　3.2　染色体変異と種の形成
　　3.2.1　種間における染色体の構造的差異
　　3.2.2　染色体的品種
　　3.2.3　構造変異の起源
　　3.2.4　一足とびの染色体構造変化と種形成
　　3.2.5　染色体変異と集団の遺伝的分化
　　3.2.6　倍数種における染色体変異
　　文献
　3.3　栽培植物の起源
　　3.3.1　野生種と栽培種
　　3.3.2　生物学的方法
　　3.3.3　考古学的方法
　　3.3.4　文化史的方法
　　3.3.5　栽培コムギの起源
　　文献

4．系統進化
　4.1　原始植物の起源
　　4.1.1　現存する化石記録
　　4.1.2　先カンブリア紀のラン藻類
　　文献
　4.2　被子植物の起源
　　4.2.1　従来の植物系統論にみられる問題
　　4.2.2　被子植物とは何か
　　4.2.3　被子植物の起源と系統に関する諸説
　　4.2.4　被子植物の起源に関する最近の意見
　　4.2.5　生長遅滞の原則と古気候の変遷
　　4.2.6　陸上植物の起源は単系か多系か
　　4.2.7　裸子植物の起源は単系か多系か
　　4.2.8　被子植物の起源は単系か多系か
　　4.2.9　被子植物起源の地域
　　文献
　4.3　核型の進化
　　4.3.1　分類と核型
　　4.3.2　系統と核型
　　4.3.3　地理的分布と核型
　　4.3.4　生態と核型
　　4.3.5　核分裂のずれと核型進化
　　文献
　4.4　分子進化と系統樹
　　4.4.1　生体高分子における類似性
　　4.4.2　系統樹と変異速度
　　4.4.3　系統分類への適応
　　文献

人名索引
和名索引
学名索引
事項索引

木原　均
きはら ひとし
1893年 東京都に生まれる。北海道帝国大学農学部卒業。北海道帝国大学大学院進学を経て京都帝国大学助手・講師・助教授・教授、京都大学教授、国立遺伝学研究所所長、農林省植物ウイルス研究所所長、麻布学園理事長、進化生物学研究所所長などを歴任。横浜市立大学木原生物学研究所名誉所長、文化勲章受章、文化功労者。主な著書に『私の生物学』（編著、講談社）、『植物の世界』（共著、学生社）、『黎明期日本の生物史』（共著、養賢堂）、『砂漠と氷河の探検』（朝日新聞社）、マザー著『統計遺伝学』（共訳、岩波書店）などがある。

酒井 寛一
さかい かんいち
1910年 生まれ。国立遺伝学研究所 応用遺伝部長などを歴任。主な著書に『生態遺伝学』（共立出版）、『植物の集団育種法研究』（共編、養賢堂）、『集団遺伝学』（共編、培風館）、『育種通論』（朝倉書店）などがある。

（情報は初版刊行時のものから一部修正しております）

執筆者一覧 （pdfファイル）
（執筆者の所属は初版刊行時）