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複素解析 − 一変数・多変数の関数 −
Complex Analysis in One and Several Variables

在庫マーク

福島大学名誉教授 博士(理学) 相原義弘・
東京大学名誉教授・東京工業大学名誉教授 理学博士 野口潤次郎 共著

A5判/400頁/定価5940円(本体5400円+税10%)/2024年3月25日発行
ISBN 978-4-7853-1605-1  C3041

“コーシーから岡潔まで”

 一変数関数論の基礎から多変数関数論入門までを、透徹した筆致で簡潔明瞭に解説する、新たな複素解析(関数論)の入門書が登場。
 その理論の美しさで多くの人々を魅了する複素解析。現在 理工学分野の基礎として広く学ばれている一変数関数論の諸結果は、概ねA.L.コーシー(1789-1857)の時代から19世紀末までに得られた成果である。多変数関数論と呼ばれる分野が大きく進展したのは20世紀中葉であり、岡潔(1901-1978)による「連接定理」がその基礎をなす。その成果は数学内に留まらず、今は科学の諸分野で深く使われている。
 変数が2以上になることによる理論的困難さの増加は著しく、岡の仕事から半世紀以上が経過したが、一変数から多変数の理論までを基礎から展開する複素解析の本格的教科書は、これまであまり出版されてこなかった。しかし近年の研究で、多変数関数論の諸結果の証明の簡明化が進み、多変数関数論の入門までを一変数の理論と同じレベルで記述することが可能となり、本書が実現した。本書は、いわば“コーシーから岡潔まで”をひとつとして捉えた、画期的な複素解析の入門書である。
 内容としては、実数の性質(公理)から説き起こしてユークリッド空間、複素数を定義し、三角関数や円周率も実数の公理にもとづき定義する。つづいて、コーシーの積分定理、一次変換、留数定理、解析接続、楕円関数、リーマンの写像定理、ピカールの定理などの一変数関数論の基礎を経て、基本的な岡の第1連接定理、上空移行の原理、近似問題、補間問題、クザン問題、そして岡原理までを系統的に完全証明付きで解説する。


サポート情報

まえがき   索引   記号 (以上 pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.ユークリッド空間と複素数
2.正則関数
3.有理型関数
4.解析接続
5.正則写像
6.多変数正則関数
7.連接層と上空移行の原理
8.正則領域

詳細目次  →『複素解析』目次

まえがき (pdfファイル)
ことわり

1.ユークリッド空間と複素数
 1.1 実数
  1.1.1 実数の公理
  1.1.2 数列の極限
  1.1.3 級数
  1.1.4 無限乗積
 1.2 $n$ 次元ユークリッド空間
 1.3 複素数と複素平面
 1.4 複素数列・複素級数
 1.5 関数
  1.5.1 複素関数
  1.5.2 連続写像
  1.5.3 関数列
  1.5.4 関数項級数
  1.5.5 偏導関数
 1.6 曲線とホモトピー
  1.6.1 曲線
  1.6.2 ホモトピー
 1.7 リーマン球面
 問題

2.正則関数
 2.1 正則関数
 2.2 巾級数
  2.2.1 巾級数
  2.2.2 指数関数
  2.2.3 三角関数
 2.3 コーシーの積分定理
  2.3.1 線積分
  2.3.2 コーシーの積分定理
  2.3.3 コーシーの積分公式
  2.3.4 モレラの定理
 2.4 正則関数の基本的性質
  2.4.1 一致の定理
  2.4.2 逆関数
  2.4.3 対数関数
  2.4.4 領域保存の法則
  2.4.5 正則関数の等角性
  2.4.6 最大値の原理
  2.4.7 リューヴィルの定理と代数学の基本定理
  2.4.8 正則関数列の収束
 2.5 無限乗積
  2.5.1 絶対収束
  2.5.2 関数の無限乗積
 2.6 無限積表示
  2.6.1 ワイェルシュトラース積
  2.6.2 三角関数の無限積表示
 2.7 一次変換
  2.7.1 群の概念
  2.7.2 一次変換とリーマン球面
  2.7.3 鏡像とアポロニウスの円
  2.7.4 一次変換の円々対応
  2.7.5 自己一次変換群
  2.7.6 一次変換の分類
 2.8 調和関数
  2.8.1 正則関数と調和関数
  2.8.2 ポアソン積分
 問題

3.有理型関数
 3.1 有理型関数とローラン展開
 3.2 留数定理
 3.3 偏角の原理
 3.4 種々の計算: 留数定理の応用
  3.4.1 定積分計算への応用
  3.4.2 級数の和への応用
 3.5 有理型関数の部分分数展開
  3.5.1 有理関数の部分分数展開
  3.5.2 ミッターク・レッフラーの定理
  3.5.3 三角関数の部分分数展開
  3.5.4 続 三角関数の無限積表示
 3.6 楕円関数
 問題

4.解析接続
 4.1 解析接続とリーマン領域
  4.1.1 解析接続
  4.1.2 曲線に沿う解析接続
  4.1.3 解析接続と不分岐リーマン領域
  4.1.4 対数関数(再論)
 4.2 分岐リーマン領域
 4.3 関数等式による解析接続
  4.3.1 ガンマ関数
  4.3.2 リーマンのゼータ関数
 問題

5.正則写像
 5.1 正則写像
 5.2 シュヴァルツの補題
 5.3 正規族とモンテルの定理
 5.4 リーマンの写像定理
 5.5 シュヴァルツ・クリストッフェルの公式
  5.5.1 シュヴァルツ・クリストッフェルの公式
  5.5.2 楕円関数(続論)
 5.6 エルミート計量
  5.6.1 微分
  5.6.2 エルミート計量
  5.6.3 負曲率エルミート計量
  5.6.4 ピカールの小定理
 5.7 ピカールの大定理
 問題

6.多変数正則関数
 6.1 多変数正則関数
  6.1.1 $\mathbf{C}^n$ の距離と多重円板
  6.1.2 多変数正則関数の定義
  6.1.3 多変数正則関数列・正則関数項級数
  6.1.4 多変数巾級数
  6.1.5 多変数正則関数の基本的性質
  6.1.6 解析接続とハルトークス現象
  6.1.7 凸多角形柱状領域でのルンゲの近似定理
  6.1.8 クザン積分
 6.2 陰関数定理・逆関数定理
 6.3 解析的部分集合
 問題

7.連接層と上空移行の原理
 7.1 解析層の定義
  7.1.1 代数からの準備
  7.1.2 解析層
 7.2 連接層
 7.3 岡の第1連接定理
  7.3.1 ワイェルシュトラースの予備定理
  7.3.2 岡の第1連接定理
  7.3.3 複素部分多様体のイデアル層
 7.4 有限生成系の融合
  7.4.1 行列・行列値関数
  7.4.2 H. カルタンの行列分解
  7.4.3 有限生成系の融合
 7.5 岡の上空移行の原理
  7.5.1 岡シジジー
  7.5.2 岡の拡張定理
 問題

8.正則領域
 8.1 正則領域と正則凸領域
 8.2 カルタン・トゥーレンの定理
 8.3 岡・ヴェイユとルンゲの近似定理
  8.3.1 解析的多面体と近似定理
  8.3.2 ルンゲの近似定理(一変数)
 8.4 クザンの問題
  8.4.1 クザンI問題
  8.4.2 ミッターク・レッフラーの定理(一変数)
  8.4.3 クザンII問題と岡原理
  8.4.4 ワイェルシュトラースの定理(一変数)
 8.5 補間問題
 問題

問題のヒントと略解
あとがき
参考図書・文献
索引 (pdfファイル)
記号 (pdfファイル)

著作者紹介

相原 義弘
あいはら よしひろ 
1954年 東京都に生まれる。1980年 東北大学大学院理学研究科博士課程前期修了。一関工業高等専門学校専任講師、沼津工業高等専門学校専任講師・助教授・教授、福島大学教授などを歴任。

野口 潤次郎
のぐち じゅんじろう 
1948年 神奈川県に生まれる。1973年 東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。広島大学助手、大阪大学講師、東京工業大学助教授・教授、東京大学教授などを歴任。主な著書に『多変数解析関数論 第2版』(朝倉書店)、『幾何学的関数論』(共著、岩波書店)、『多変数ネヴァンリンナ理論とディオファントス近似』(共立出版)などがある。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


この著作者の本
『複素解析概論』
複素解析概論


『岡理論新入門』
岡理論新入門





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