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物理科学選書
配位子場理論とその応用
Ligand Field Theory and Its Applications
東京大学名誉教授 理博 上村 洸・
東京大学名誉教授 理博 菅野 暁・
東京大学名誉教授 理博 田辺行人 共著
A5判/410頁/定価7480円(本体6800円+税10%)/1969年6月発行
ISBN 978-4-7853-2404-9 (旧ISBN 4-7853-2404-X)
C3042
(オンデマンド方式による印刷・製本)
配位子場理論は、無機化学や磁性、光物性物理学の新しい分野重要であるばかりでなく、レーザーなどが関係する電子工学、分子生物学などの研究にとっても必要なものになっている。
本書は、修士課程の大学院生が理解できる配位子場理論の入門書として、その基礎的なことがらを平易に解説すると同時に、一般の研究者がこの理論を実際的な問題にすぐ適用できるように現在研究されている問題についても言及している。
1.序論
2.配位子場中の1個の $d$ 電子
3.正八面体群と対称操作
4.電子間相互作用 −2電子問題−
5.多重項のエネルギー(1) −多電子問題−
6.多重項のエネルギー(2) −電子と孔−
7.多重項の分裂(1) −低い対称性の配位子場−
8.原子構造と弱い結晶場の近似
9.多重項の分裂(2) −スピン軌道相互作用,ゼーマン効果−
10.光スペクトル
11.電子と核振動子の相互作用
12.分子軌道の理論
13.常磁性
1.序論
1.1 遷移金属イオンの化合物,錯体
1.2 遷移金属錯体の特徴
1.3 配位子場理論の歴史
1.4 配位子場理論の応用
1.5 本書の内容
付録 遷移金属原子およびイオンの電子配置,基底状態,イオン化エネルギー $I$
2.配位子場中の1個の $d$ 電子
2.1 1電子原子の問題
2.2 中心力場近似
2.3 立法対称場中の1個の $d$ 電子
3.正八面体群と対称操作
3.1 正八面体の対称操作
3.2 群の既約表現とエネルギー準位
3.3 表現の指標
3.4 準位の分裂
3.5 反転,鏡映
付録1 既約表現の行列要素に関する直交性の定理
付録2 指標に関する第2種直交関係(3.43)の導出
4.電子間相互作用 −2電子問題−
4.1 2電子問題の定式化
4.2 積表現,スピン角運動量の合成
4.3 クーロン相互作用の行列要素,多重項のエネルギー
4.4 スレーター積分
付録1 対称表現と反対称表現
付録2 $1/r_{12}$ の積分の間の関係式
5.多重項のエネルギー(1) −多電子問題−
5.1 多電子の波動関数
5.2 行列要素の計算
5.3 3電子系のエネルギー行列要素
6.多重項のエネルギー(2) −電子と孔−
6.1 相補状態
6.2 相補状態における行列要素
6.3 エネルギー行列
7.多重項の分裂(1) −低い対称性の配位子場−
7.1 1電子問題
7.2 ウィグナー−エッカート(Wigner-Eckart)の定理
8.原子構造と弱い結晶場の近似
8.1 原子の電子構造
8.2 結晶場による摂動
付録 スピン関数による回転の表現
9.多重項の分裂(2) −スピン軌道相互作用,ゼーマン効果−
9.1 原子またはイオンのスピン軌道相互作用
9.2 立法対称場中の鉄族イオンのスピン軌道相互作用
9.3 $t_2$ 電子と $p$ 電子の同等性
9.4 $^{2S+1}T_1$,$^{2S+1}T_2$ 多重項におけるスピン軌道相互作用
(等価演算子法による取扱い)
9.5 2重群
9.6 クラマース縮重とゼーマン効果
9.7 有効ハミルトニアン
付録 ラカー係数
10.光スペクトル
10.1 エネルギー準位図
10.2 吸収スペクトル
10.3 吸収の強度
10.4 吸収スペクトルの解析
10.5 吸収帯の分裂
10.6 吸収線の分裂
11.電子と核振動子の相互作用
11.1 断熱近似(ボルン−オッペンハイマー近似)
11.2 基準振動と基準座標
11.3 非縮重状態に対する電子と振動の相互作用
11.4 静的ヤーン−テラー効果
11.5 動的ヤーン−テラー効果
11.6 ヤーン−テラー歪の間のトンネル効果
11.7 パリティ奇の振動モードによる光学遷移
11.8 フランク−コンドン(Franck-Condon)の原理
付録 (11.73)式の証明
12.分子軌道の理論
12.1 ハートリー−フォックの方程式
12.2 分子軌道(Molecular Orbital:MO)
12.3 配位子場理論と分子軌道
付録 水素分子のハイトラー-ロンドンの理論
13.常磁性
13.1 自由な原子またはイオンの常磁性
13.2 希土類イオンの常磁性
13.3 鉄族イオンの常磁性
付録
A 32点群(2重点群)の指標の表
B クレプシュ-ゴルダン係数の表
C ウィグナー係数
D クーロン相互作用の行列要素
E 既約表現の基底として[111]方向を量子化軸にとったときのクレプシュ-ゴルダン係数の表
参考書
索引
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上村 洸
かみむら ひろし
1930年 兵庫県に生まれる。旧制武蔵高等学校卒業、東京大学理学部卒業、東京大学大学院数物系研究科博士課程修了。東京大学助手・講師・助教授・教授、理論物理国際センター(トリエステ)半導体カレッジ校長、東京理科大学教授等を歴任。東京理科大学名誉教授、英国物理学会名誉フェロー、アメリカ物理学会終身フェロー。
菅野 暁
すがの さとる
1928年 静岡県に生まれる。旧制静岡高等学校卒業、東京大学理学部卒業。日本放送協会技術研究所勤務、東京大学助手、ベル電話研究所研究所員、東京大学教授などを歴任。主な著書に『電子の分光』(共著、共立出版)、『新しい配位子場の科学』(共編、講談社)などがある。
田辺 行人
たなべ ゆきと
1927年 大連市に生まれる。旧制第五高等学校卒業、東京大学理学部卒業、東京大学大学院修了。東京大学助手、東京工業大学助教授、東京大学教授、日本女子大学教授などを歴任。主な著書に『新しい配位子場の科学』(監修、講談社サイエンティフィク)、『ベクトル・テンソルおよびその応用(1)』(コロナ社)、『常微分方程式』(共著、東京大学出版会)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
基礎からの量子力学
応用群論(増補版)
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