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物性科学入門シリーズ 
電気伝導入門
Introduction to Electrical Conduction

在庫マーク

東京大学名誉教授 工博 前田京剛 著

A5判/216頁/定価3740円(本体3400円+税10%)/2019年6月発行
ISBN 978-4-7853-2923-5  C3042

 本書は,学部3,4年生向けの物性科学の入門書として,また学生たちが卒業研究や大学院での専攻を選ぶ際に役立つ書となることを目指した,「物性科学入門シリーズ」の一冊である.

 半導体や超伝導といった,一般の人にも比較的知られているキーワードに代表されるように,電気伝導は物性物理学の中で最も派手なアウトプットを有していると同時に,それらの各分野を横断的に横糸で繋ぐ分野でもある.そのため,電気伝導を理解することは,物理学の様々な知識・考え方の集大成のようなものであり,またそこから,種々の新しい概念が生まれたりもしている.したがって,電気伝導についてひと通り学ぶことによって,物性物理学の歴史,そして,現代物性物理学の世界の入口を俯瞰することができるであろう.
 本書は,オームの法則,半導体,超伝導,量子ホール効果などに加え,非常に注目を浴びていながらも,まだ類書の少ないトポロジカル絶縁体までを,電気伝導という視点で解説した入門書である.


サポート情報

はじめに  おわりに  索引 (以上 pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.物質の電気伝導とオームの法則
2.オームの法則の微視的理解(1)
3.オームの法則の微視的理解(2)
4.素励起と分散
5.乱れと電気伝導
6.電子相関と電気伝導
7.雑音
8.電気伝導に関する発展的な話題

詳細目次  →『電気伝導入門』 目次

はじめに (pdfファイル)

1.物質の電気伝導とオームの法則
 1.1 オームの法則
 1.2 様々な物質の電気伝導
 1.3 分極と誘電性
 演習問題

2.オームの法則の微視的理解(1)
 2.1 古典論による自由電子モデル
 2.2 量子論による自由電子モデル
  2.2.1 量子論による1個の自由電子
  2.2.2 量子論による $N$ 個の自由電子
 2.3 結晶とバンド理論 −周期ポテンシャル中の電子−
 2.4 電気抵抗の原因
 演習問題

3.オームの法則の微視的理解(2)
 3.1 電子の半古典的動力学
  3.1.1 半古典近似と有効質量
  3.1.2 半古典近似による電気伝導
  3.1.3 ホール効果と磁気抵抗
 3.2 電子分布を考慮した扱い
  3.2.1 非平衡分布が従う方程式 −ボルツマン方程式−
  3.2.2 金属の電気伝導度の表式
 演習問題

4.素励起と分散
 4.1 複素伝導度と複素誘電率
  4.1.1 金属の交流応答
  4.1.2 誘電体の交流応答
  4.1.3 物質の交流応答
 4.2 誘電分散
  4.2.1 ローレンツ振動子
  4.2.2 バンド間遷移
  4.2.3 フォノン
  4.2.4 ポラリトン
 4.3 素励起
  4.3.1 素励起
  4.3.2 プラズモン
 4.4 線形応答とクラマース-クローニッヒの関係
  4.4.1 クラマース-クローニッヒの関係
  4.4.2 総和則
  4.4.3 応答関数とエネルギー散逸
 演習問題

5.乱れと電気伝導
 5.1 半導体の不純物ドープ
  5.1.1 半導体デバイス
  5.1.2 不純物ドープ
 5.2 アンダーソン局在
 5.3 近藤効果
 演習問題

6.電子相関と電気伝導
 6.1 バンド理論の前提
  6.1.1 断熱近似と1体問題化
  6.1.2 正当化の根拠
 6.2 電子相関とモット-ハバード転移
  6.2.1 電子相関
  6.2.2 バンド理論では理解できない物質
  6.2.3 モット絶縁体と強相関電子系
  6.2.4 ハバード・モデル
 演習問題

7.雑音
 7.1 様々な雑音
 7.2 ゆらぎの記述
  7.2.1 相関関数とパワースペクトル密度
  7.2.2 白色雑音のスペクトルと相関関数
 7.3 熱雑音 −ナイキストの定理と黒体輻射−
 7.4 搖動散逸定理
 7.5 散射雑音
 7.6 $1/f$ 雑音
  7.6.1 欠陥のゆっくりとした運動
  7.6.2 非平衡に固有のゆらぎ
 演習問題

8.電気伝導に関する発展的な話題
 8.1 非線形性(非線形伝導・非線形光学)
  8.1.1 非線形伝導
  8.1.2 非線形光学
 8.2 物質の秩序状態と非線形伝導
  8.2.1 秩序相と相転移
  8.2.2 密度波の滑り運動
  8.2.3 他の電荷秩序状態での非線形伝導
 8.3 非局所性(異常表皮効果)
 8.4 メゾスコピック系
  8.4.1 メゾスコピックとは?
  8.4.2 ランダウアー公式
  8.4.3 AB効果と普遍的コンダクタンスゆらぎ
 8.5 量子ホール効果
  8.5.1 半導体界面電子系の整数量子ホール効果
  8.5.2 磁場下の電子系の量子論的扱い
  8.5.3 整数量子ホール効果の理解と意義
  8.5.4 分数量子ホール効果
 8.6 トポロジカル絶縁体
  8.6.1 トポロジカル絶縁体
  8.6.2 再び整数量子ホール効果
 8.7 超伝導
  8.7.1 小史
  8.7.2 超伝導現象
  8.7.3 超伝導の理解
  8.7.4 銅酸化物高温超伝導出現の意義
  8.7.5 磁場下の超伝導状態 −混合状態−
 演習問題

付録
 A1 物質中の電磁場
  A1.1 物質中のマクスウェル方程式
  A1.2 微視場・巨視場・反分極場
 A2 半古典的動力学の基礎方程式の導出
  A2.1 運動学的方程式
  A2.2 動力学的方程式
 A3 電磁ポテンシャルとゲージ場
  A3.1 電磁ポテンシャル
  A3.2 ゲージ場
  A3.3 AB効果
 A4 様々な周波数に対する電気伝導度を測定する際の留意点
  A4.1 表皮効果
  A4.2 電磁波の放射
  A4.3 集中定数回路・分布定数回路・立体回路

参考文献
より進んだ内容の参考書
おわりに (pdfファイル)
演習問題略解
索引 (pdfファイル)

著作者紹介

前田 京剛
まえだ あつたか 
1958年 東京都に生まれる。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科博士課程中途退学。東京大学助手・講師・助教授・准教授・教授などを歴任。専門は物性実験やその応用。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


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