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ハドロン物理学入門
Introduction to Hadron Physics

在庫マーク

京都大学名誉教授・高エネルギー加速器研究機構名誉教授 理博 永江知文 著

A5判/268頁/定価4620円(本体4200円+税10%)/2020年6月発行
ISBN 978-4-7853-2924-2  C3042

 本書は、ハドロン物理学の入門書であるとともに、ハドロンをクォークの多体系として捉える(考える)ことにより、バリオンやメソンといった粒子のみならず、それらの粒子が統合した原子核やハイパー原子核、また高温・高密度の核物質なども対象とした、“クォーク多体系物理学”の入門書としても使えることを目指したものである。
 読者対象としては、大学の学部4年生から大学院修士課程の学生を念頭におき、予備知識としては、大学の学部レベルの原子核物理学や素粒子物理学の入門程度の知識と、それらのベースとなっている特殊相対性理論や量子力学(特に、散乱の量子論)、および統計力学の基礎知識を想定して、懇切丁寧に解説した。


サポート情報

はしがき (pdfファイル)   索引 (pdfファイル)
正誤表 (pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.序章
2.クォークの“発見”
3.クォークの世界
4.ハドロンの世界
5.核子多体系の世界
6.ハドロン多体系
7.ハドロン物質の世界
8.ハドロン物理学の課題と展望
9.世界の加速器研究施設

詳細目次  『ハドロン物理学入門』 目次

はしがき (pdfファイル)

1.序章
 1.1 単位系
 1.2 ローレンツ変換
 1.3 散乱断面積
 1.4 共鳴状態
 1.5 ローレンツ不変な散乱振幅・位相空間とダリッツ・プロット
 1.6 基本相互作用

2.クォークの“発見”
 2.1 原子核の発見
 2.2 ハドロンの発見
 2.3 クォーク模型
 2.4 パートンの発見
 2.5 量子色力学の確立
 2.6 クォークとレプトンの世代

3.クォークの世界
 3.1 クォーク模型
  3.1.1 クォークとカラー自由度
  3.1.2 カラーの担い手 −グルーオンとクォークの閉じ込め−
 3.2 深部非弾性散乱とパートン模型
  3.2.1 深部非弾性散乱
  3.2.2 パートン模型
  3.2.3 ハード散乱とQCD
  3.2.4 陽子のスピン

4.ハドロンの世界
 4.1 ハドロンの性質
 4.2 対称性と群
  4.2.1 多重項によるハドロンの分類
  4.2.2 群
  4.2.3 ヤング図
  4.2.4 アイソスピン対称性
  4.2.5 リー群と構造定数
  4.2.6 回転対称性
 4.3 3個のスピン1/2の粒子系
 4.4 バリオンとSU(3)
 4.5 クォーク模型の適用例 −電荷と磁気モーメント−
 4.6 メソン
 4.7 重いクォーク
 4.8 超微細相互作用によるハドロンの質量
 4.9 “みつからない共鳴状態”の問題
 4.10 エキゾティック・ハドロン
  4.10.1 ペンタ・クォーク粒子の候補
  4.10.2 テトラ・クォーク粒子の候補
  4.10.3 グルーボール
 4.11 格子QCD計算
 4.12 ep散乱
 4.13 ハドロン反応の断面積の特徴

5.核子多体系の世界
 5.1 原子核の性質
  5.1.1 原子核の大きさと形
  5.1.2 原子核の結合エネルギー
  5.1.3 フェルミガス模型
  5.1.4 準弾性散乱
  5.1.5 多重散乱とグラウバー模型
  5.1.6 殻模型
 5.2 核力の性質
  5.2.1 ポテンシャル散乱と部分波展開
  5.2.2 S波散乱
  5.2.3 π中間子交換模型
  5.2.4 重陽子
  5.2.5 バリオン間相互作用

6.ハドロン多体系
 6.1 バリオン多体系
  6.1.1 ラムダハイパー核
  6.1.2 シグマハイパー核
  6.1.3 グザイハイパー核
  6.1.4 2重ラムダハイパー核
  6.1.5 メソン・バリオン多体系
 6.2 原子核の合成
  6.2.1 ビッグバン元素合成
  6.2.2 星の元素合成

7.ハドロン物質の世界
 7.1 核物質の性質
 7.2 QCD相転移
 7.3 高エネルギー重イオン衝突
 7.4 高温核物質
  7.4.1 ジェットの抑制
  7.4.2 直接光子による温度測定
 7.5 高密度核物質

8.ハドロン物理学の課題と展望
 8.1 クォークの閉じ込め
 8.2 カイラル対称性の破れとハドロン質量
 8.3 連星中性子星合体からの重力波

9.世界の加速器研究施設
 9.1 J-PARC
  9.1.1 400MeV線形陽子加速器
  9.1.2 3GeV陽子シンクロトロン
  9.1.3 30GeV陽子シンクロトロン
  9.1.4 ハドロン実験施設
 9.2 RHIC
 9.3 LHC加速器
 9.4 JLab

付録A ニュートリノ深部非弾性衝突
 A.1 ニュートリノ - 電子散乱
 A.2 ニュートリノとクォークとの散乱
付録B カラー因子とグルーオン交換ポテンシャル

参考文献
索引 (pdfファイル)

著作者紹介

永江 知文
ながえ ともふみ 
1958年 熊本県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京大学助手・助教授、高エネルギー加速器研究機構助教授・教授、京都大学教授などを歴任。第75・76期 日本物理学会会長。専門は原子核物理学。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


この著作者の本
『原子核物理学』
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