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半導体物理学
Semiconductor Physics

在庫マーク

九州大学名誉教授 理博 中山正敏・
東京大学名誉教授 理博 塚田捷・
筑波大学名誉教授 理博 名取研二・
電気通信大学名誉教授 理博 名取晃子・
東北大学名誉教授 理博 齋藤理一郎・
東京大学名誉教授 理博 福山秀敏 共著

A5判上製/566頁/定価9680円(本体8800円+税10%)/2024年11月25日発行
ISBN 978-4-7853-2927-3  C3042

 半導体をテーマとする多くの教科書では十分に扱われることの少ない、半導体の「物理」の基礎をていねいに記述し、さらに、半導体物理の研究の最前線までを紹介することを目的とした本格的な書。

『「半導体とは何か?」について学習するなかで,現代物理学の基本とその基礎の上に成立する半導体デバイスの本質に触れ,半導体の科学と技術のさらなる飛躍への意欲を抱いていただけるとしたら,著者一同のこの上ない幸せである.』

(本書「まえがき」より)


サポート情報

まえがき  索引 (以上pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.序論──半導体とは
2.電子状態と量子力学
3.結晶格子と格子力学
4.金属・半導体・絶縁体の電子論
5.電子の輸送現象
6.半導体の分光物性
7.半導体デバイスの物理
8.2次元電子と2次元物質
9.半導体研究の新展開「広がる半導体の世界」
エピローグ

詳細目次  『半導体物理学』 目次

刊行にあたって
まえがき(pdfファイル)

1.序論──半導体とは [中山正敏]
 1.1 電子の発見
  1.1.1 放電現象
  1.1.2 ドルーデの金属電子論
  1.1.3 金属のホール効果
 1.2 半導体物性1
  1.2.1 金属と絶縁体の中間
  1.2.2 構造に敏感な半導体
  1.2.3 環境に敏感な半導体
 1.3 原子と結晶構造
  1.3.1 光電効果
  1.3.2 光吸収スペクトル
  1.3.3 α線と原子核
  1.3.4 ボーアの量子論
  1.3.5 原子の殻構造,価電子
  1.3.6 X線回折
  1.3.7 原子間力と結晶構造
 1.4 半導体物性2 −n型とp型−
  1.4.1 熱起電力の符号
  1.4.2 半導体のホール効果
  1.4.3 価電子の量子状態と半導体
  1.4.4 ドナーとアクセプター
  1.4.5 半導体の整流作用
  1.4.6 トンネルダイオード
  1.4.7 MOS反転層
 1.5 キャリヤガスモデルと輸送現象
  1.5.1 キャリヤガスモデル
  1.5.2 電気伝導度
  1.5.3 ホール効果,個数密度と移動度の分離
  1.5.4 キャリヤの移動度
  1.5.5 磁気抵抗効果
  1.5.6 サイクロトロン共鳴
 参考文献

2.電子状態と量子力学 [塚田 捷]
 2.1 量子力学の基礎
  2.1.1 量子力学とは
  2.1.2 波動関数
  2.1.3 固有状態と時間発展 −シュレディンガー方程式−
  2.1.4 粒子と波動
  2.1.5 井戸型ポテンシャルによる粒子の束縛
  2.1.6 障壁のトンネル効果
  2.1.7 二重障壁の共鳴トンネル現象
  2.1.8 散乱問題
  2.1.9 量子遷移の黄金則
 2.2 調和振動子の量子力学
  2.2.1 微小振動とその量子化
  2.2.2 調和振動の固有関数と量子準位
  2.2.3 振動量子 −生成と消滅−
 2.3 原子と分子から結晶へ
  2.3.1 原子と周期律
  2.3.2 分子と化学結合
  2.3.3 結晶中の電子状態
 参考文献
 補遺1 水素原子の固有値問題
 補遺2 変分法による永年方程式

3.結晶格子と格子力学 [中山正敏]
 3.1 1次元格子と格子振動
  3.1.1 1次元格子の振動
  3.1.2 横波振動
 3.2 1次元2原子格子の振動
  3.2.1 2原子格子
  3.2.2 音響モードと光学モード
 3.3 典型的半導体の結晶格子と逆格子
  3.3.1 ダイヤモンド型格子と閃亜鉛鉱型格子
  3.3.2 X線回折の原理
  3.3.3 ウルツ鉱型格子
 3.4 3次元格子振動1 −面心立方格子−
  3.4.1 基礎運動方程式
  3.4.2 基準モード
 3.5 3次元格子振動2 −半導体の断熱結合電荷モデル−
  3.5.1 ダイヤモンド型格子の振動
  3.5.2 断熱結合電荷モデル
  3.5.3 ABCMの基礎方程式
  3.5.4 ダイヤモンド型格子
  3.5.5 閃亜鉛鉱型格子
  3.5.6 ウルツ鉱型格子
  3.5.7 グラファイト
  3.5.8 Si原子系
 3.6 結晶の凝集エネルギー,弾性,圧電性
  3.6.1 結晶の凝集エネルギー
  3.6.2 電子状態と凝集エネルギー
  3.6.3 弾性率
  3.6.4 圧電効果
 3.7 格子欠陥と塑性
  3.7.1 格子欠陥
  3.7.2 点状欠陥
  3.7.3 転位
  3.7.4 積層欠陥
  3.7.5 多結晶など
  参考文献

4.金属・半導体・絶縁体の電子論 [塚田 捷]
 4.1 エネルギーバンドの特徴とその起源
  4.1.1 ほとんど自由な電子と強く束縛された電子
  4.1.2 金属のエネルギーバンドと物性
  4.1.3 IV族,III-V族半導体の電子構造
  4.1.4 金属酸化物の構造と物性
 4.2 第一原理密度汎関数計算法による電子状態の計算
 4.3 表面構造と表面電子状態
  4.3.1 表面とは
  4.3.2 半導体の表面構造
  4.3.3 走査トンネル顕微鏡による表面観察
  4.3.4 表面状態
  4.3.5 トポロジカル表面状態
 参考文献
 補遺1 多谷構造によるピエゾ抵抗効果とホットエレクトロン効果
 補遺2 フェルミ分布とボース分布

5.電子の輸送現象 [塚田 捷]
 5.1 電子の有効質量
  5.1.1 有効質量とは
  5.1.2 静電磁場中の波束の運動
 5.2 有効質量方程式
 5.3 $\boldsymbol{k・p}$ 摂動理論
  5.3.1 $\boldsymbol{k・p}$ 摂動理論とは
  5.3.2 $g$ 因子
  5.3.3 GaAsの価電子帯 −頂上付近の電子状態−
 5.4 正孔というコンセプト
 5.5 不純物と欠陥
  5.5.1 浅い不純物準位
  5.5.2 キャリヤの発生
 5.6 電気伝導度とホール効果
  5.6.1 輸送方程式と伝導度テンソル
  5.6.2 金属と半導体の伝導度
  5.6.3 運動方程式との関係
  5.6.4 ホール効果
 5.7 格子振動と光の量子
  5.7.1 波の量子化
  5.7.2 格子振動の力学 −ダイナミカル行列−
  5.7.3 フォノン −格子波の量子−
  5.7.4 音響モードと光学モード
  5.7.5 フォトン −光の量子−
  5.7.6 電子遷移とフォトン
 5.8 キャリヤの散乱時間
  5.8.1 不純物による散乱
  5.8.2 フォノンによる散乱
 5.9 熱電効果
  5.9.1 温度勾配のある系の輸送方程式
  5.9.2 種々の熱電効果
 参考文献
 補遺1 GaAsの価電子帯頂上近傍の $\boldsymbol{k・p}$ ハミルトニアン
 補遺2 リュービルの定理とボルツマン方程式

6.半導体の分光物性 [中山正敏]
 6.1 光,電磁波と半導体
  6.1.1 分光物性の現象論
  6.1.2 電気分極
  6.1.3 調和振動子モデル
  6.1.4 分光物性のニューモード
 6.2 分光物性の量子力学的理論
  6.2.1 誘電関数の計算法
  6.2.2 誘電関数の諸性質
  6.2.3 分光物性の概観
 6.3 内殻電子励起
  6.3.1 内殻電子
  6.3.2 半導体のXPS
 6.4 価電子励起分光
  6.4.1 直接遷移と間接遷移
  6.4.2 バンド間磁気光吸収
  6.4.3 励起子
  6.4.4 光起電力
  6.4.5 キャリヤプラズマ振動
  6.4.6 プラズモンと表面電荷
 6.5 不純物励起分光
  6.5.1 不純物中心
  6.5.2 Siの浅いドナー
  6.5.3 Geの浅いアクセプター
  6.5.4 深い準位の中心1 −空格子点−
  6.5.5 深い準位の中心2 −不純物−
 6.6 フォノン励起分光
  6.6.1 赤外分光と半導体
  6.6.2 赤外吸収
  6.6.3 光子散乱
 6.7 磁気共鳴分光
  6.7.1 磁気双極子と磁場
  6.7.2 核磁気共鳴
  6.7.3 電子スピン共鳴
  6.7.4 核電子二重共鳴
 6.8 半導体発光(ルミネッセンス)
  6.8.1 光吸収と発光
  6.8.2 バンド間励起発光
  6.8.3 様々な励起子発光
  6.8.4 局在中心による発光
  6.8.5 LEDと半導体レーザー
 参考文献

7.半導体デバイスの物理 [名取研二・名取晃子]
 7.1 デバイス(素子)とは
 7.2 半導体デバイスの構成要素
 7.3 電流制御素子
  7.3.1 少数キャリヤの寿命と拡散距離
  7.3.2 pn接合
  7.3.3 バイポーラ・トランジスタ
  7.3.4 MOS接合
  7.3.5 MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)
 7.4 メモリー素子
  7.4.1 揮発性メモリー
  7.4.2 不揮発性メモリー
 7.5 マイクロ波素子
  7.5.1 ガンダイオード
  7.5.2 高電子移動度トランジスタ(HEMT)
 7.6 光素子
  7.6.1 発光ダイオード
  7.6.2 太陽電池
 7.7 熱電変換素子
  7.7.1 熱発電と電子冷凍
  7.7.2 熱発電の変換効率
 7.8 集積回路
  7.8.1 情報革命と集積回路
  7.8.2 集積回路の構造と作製
  7.8.3 今後の展望
 参考文献

8.2次元電子と2次元物質 [齋藤理一郎]
 8.1 反転層における2次元電子
 8.2 MOSFETの動作原理
  8.2.1 MOSFETの構造
  8.2.2 オン状態とオフ状態,遮断領域と線形領域
  8.2.3 ドレイン電圧特性,ピンチオフ,飽和領域
  8.2.4 ゲート電圧特性,サブスレッショルド領域
 8.3 入力インピーダンス,CMOS構造
 8.4 SiMOS反転層におけるホール効果
  8.4.1 MOS反転層内の2次元電子の量子状態
  8.4.2 ホール効果の実験
  8.4.3 2次元電子の電気伝導度とホール伝導度の次元
 8.5 SiMOSFETにおける整数量子ホール効果
  8.5.1 整数量子ホール効果の実験
  8.5.2 2次元電子の状態密度とランダウ量子化
  8.5.3 整数量子ホール効果が観測される状況
  8.5.4 量子力学で散乱を考えた整数量子ホール効果
 8.6 半導体ヘテロ構造とデルタドーピング
  8.6.1 シングルヘテロ構造と変調ドープ
  8.6.2 ダブルヘテロ構造とデルタドーピング
 8.7 分数量子ホール効果
  8.7.1 複合粒子描像
  8.7.2 ウイグナー結晶,量子液体
  8.7.3 分数量子ホール状態の多電子状態
 8.8 短チャネル効果,FinFET
  8.8.1 短チャネル効果
  8.8.2 短チャネル効果の抑制,FinFET,SOI
 8.9 2次元物質とヘテロ積層半導体デバイス
  8.9.1 なぜ2次元物質が必要なのか?
  8.9.2 グラフェンの電子状態
  8.9.3 遷移金属ダイカルコゲナイド,その他の2次元半導体
  8.9.4 2次元トランジスタの構造
  8.9.5 0次元,1次元への展開
 参考文献

9.半導体研究の新展開「広がる半導体の世界」 [福山秀敏]
 9.1 半導体とは
 9.2 絶縁体の種類
  9.2.1 バンド絶縁体:様々なバンドギャップ
  9.2.2 電子間強相関効果に起因する絶縁体
  9.2.3 乱れに起因する絶縁体:アンダーソン局在
  9.2.4 導電性を備えたエネルギーギャップ
 9.3 微量キャリヤの電子状態の微視的理解
  9.3.1 ラッティンジャー-コーン表示と $\boldsymbol{k・p}$ 摂動理論
  9.3.2 スピン軌道相互作用
 9.4 ナローギャップ半導体・半金属
  9.4.1 バンド間結合効果
  9.4.2 半金属
 9.5 固体中のディラック電子の物性
  9.5.1 磁場下のブロッホ電子:磁場のバンド間効果
  9.5.2 ローレンツ不変性と量子電磁力学
  9.5.3 ゼーベック効果
  9.5.4 量子トポロジカル効果,チャーン絶縁体
 9.6 分子性半導体
  9.6.1 分子系での導電性の発見からポリアセチレン −(CH)$_x$− まで
  9.6.2 多彩な分子性半導体
  9.6.3 モット絶縁体:Mott FET
 9.7 まとめと展望
 参考文献

エピローグ [中山正敏・塚田捷・名取研二・名取晃子・齋藤理一郎・福山秀敏]

あとがき
索引(pdfファイル)

著作者紹介

中山 正敏
なかやま まさとし 
1936年 福岡県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院数物系研究科博士課程修了。東京大学助手、九州大学助教授、米国ブラウン大学客員教授、九州大学教授、放送大学教授などを歴任。

塚田 捷
つかだ まさる 
1943年 中国上海に生まれる。東京大学大学院理系研究科博士課程修了。東京大学助手・助教授・教授、早稲田大学客員教授などを歴任。

名取 研二
なとり けんじ 
1945年 山梨県に生まれる。東京大学大学院物理学研究科博士課程修了。東芝ULSI研究所研究部長、筑波大学助教授・教授、東京工業大学特任教授などを歴任。応用物理学会フェロー。

名取 晃子
なとり あきこ 
東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了。電気通信大学講師・助教授・教授などを歴任。

齋藤 理一郎
さいとう りいちろう 
1958年 生まれ。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了。東京大学助手、電気通信大学助教授、東北大学教授などを歴任。

福山 秀敏
ふくやま ひでとし 
東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了。東北大学助手・助教授、東京大学教授、東北大学教授、東京理科大学教授などを歴任。日本物理学会名誉会員、平成28年度 文化功労者。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


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