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高校生にもわかる 物理化学 −量子化学と化学熱力学−
Physical Chemistry even High School Students can Understand
−Quantum Chemistry and Chemical Thermodynamics−

在庫マーク

東京農工大学名誉教授 理博 中田宗隆・
逗子開成中学校・高等学校教諭 岩井秀人 共著

A5判/224頁/定価2530円(本体2300円+税10%)/2022年10月25日発行
ISBN 978-4-7853-3525-0  C3043

電子書籍

 物理化学は抽象的でわかりづらい。しかも高校で教わる内容と大学で教わる内容にギャップがある。そのうえ、大学で教わって初めて理解できるようなことがらが、高校教科書にもどんどん入ってきている。どうしたら克服できるのか。
 長年にわたり大学で物理化学を教えてきた大学教員と、高校生にどうやって物理化学を理解させるか日々工夫を凝らす高校教員のコラボにより、「高校生の疑問に、大学で教える内容で、高校生にも理解できる」まったく新しい教科書が誕生した。化学を深く探究したい高校生、授業についていけない大学生、新課程の内容を整理・復習したい高校教員に、強く推薦したい。

◎高校生の疑問に答えるべく、やさしい言葉とイメージで解説する。

<量子化学>
 1.どうして波動関数を考える必要があるのか
 2.どのようにして波動関数を求めるのか
 3.どうして波動関数に量子数が現れるのか
 4.どうして電子スピンの概念が必要なのか
 5.どのようにして分子の波動関数を求めるのか

<化学熱力学>
 1.どうして融点や沸点で二つの相が共存できるのか
 2.どうして2種類の気体を混合するとエントロピーが増えるのか
 3.どうして希薄溶液の沸点は上昇し、凝固点は降下するのか
 4.どのようにして化学平衡の平衡定数を求めるのか
 5.どのようにして化学電池の標準電極電位(起電力)を求めるのか


サポート情報

はじめに (pdfファイル)    索引 (pdfファイル)
正誤表 (pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

I.量子論の必要性
II.原子の波動関数
III.電子の角運動量
IV.分子の波動関数
V.物質の分子運動
VI.物質の熱平衡
VII.物質の相平衡
VIII.物質の化学平衡

詳細目次  →『高校生にもわかる 物理化学』目次

はじめに (pdfファイル)

I.量子論の必要性

1.光(電磁波)には粒子の性質がある
 1.1 電磁波の種類と性質
 1.2 電磁波のエネルギー
 1.3 電磁波の運動量
2.電子(粒子)には波の性質がある
 2.1 粒子の波長と物質波
 2.2 波の回折と干渉
 2.3 電子の回折パターン
3.水素原子が放射する電磁波は限られる
 3.1 太陽から放射される電磁波
 3.2 黒体放射の理論式
 3.3 水素原子から放射される電磁波
4.ボーアの原子模型は誤解を招く
 4.1 水素原子のボーア模型
 4.2 水素原子のエネルギー
 4.3 水素原子に吸収される電磁波

II.原子の波動関数

5.水素原子の波動方程式を立てる
 5.1 波の運動方程式
 5.2 粒子の波動方程式
 5.3 固有値と固有関数
6.波動方程式を変数で分離して解く
 6.1 変数分離の方法
 6.2 角度 $\phi$ に関する固有関数
 6.3 角度 $\theta$,距離 $r$ に関する固有関数
7.電子の存在確率を波動関数から求める
 7.1 波動関数のニックネーム
 7.2 $\mathrm{s}$ 軌道の波動関数
 7.3 動径分布関数
8.波動関数を複素関数から実関数に変える
 8.1 $2\,\mathrm{p}_z$ 軌道の波動関数
 8.2 $2\,\mathrm{p}_x$ 軌道と $2\,\mathrm{p}_y$ 軌道の波動関数
 8.3 $3\,\mathrm{d}$ 軌道の波動関数

III.電子の角運動量

9.磁気モーメントを量子論で求める
 9.1 角運動量を表す演算子
 9.2 磁気モーメント
 9.3 外部磁場の中の水素原子
10.原子には複数の角運動量がある
 10.1 第二の磁気モーメント
 10.2 スピン角運動量の固有値
 10.3 電子スピンを考慮したエネルギー準位
11.ほかの電子は原子核の電荷を弱める
 11.1 ヘリウムイオンの波動関数
 11.2 ヘリウム原子の波動方程式
 11.3 遮蔽効果と有効核電荷
12.元素の周期表を量子論で解釈する 
 12.1 $\mathrm{p}$ 軌道,$\mathrm{d}$ 軌道の遮蔽効果
 12.2 エネルギー準位を使った周期表の説明
 12.3 イオン化エネルギー

IV.分子の波動関数

13.分子軌道は原子の波動関数で近似する
 13.1 水素分子イオンの波動方程式
 13.2 水素分子イオンの分子軌道
 13.3 結合性軌道と反結合性軌道
14.水素分子の波動関数と固有値を求める
 14.1 水素分子の波動方程式
 14.2 水素分子のエネルギー準位
 14.3 ヘリウム分子イオンとヘリウム分子
15.$2\,\mathrm{p}$ 軌道からは $2$ 種類の分子軌道ができる
 15.1 $2\,\mathrm{s}$ 軌道と $2\,\mathrm{s}$ 軌道からできる $\sigma$ 軌道
 15.2 $2\,\mathrm{p}$ 軌道と $2\,\mathrm{p}$ 軌道からできる $\sigma$ 軌道と $\pi$ 軌道
 15.3 窒素分子の軌道と電子配置
16.分子の形は混成軌道で決められる
 16.1 炭素原子の電子配置と不対電子
 16.2 $\mathrm{sp}^3$ 混成軌道とメタン分子
 16.3 $\mathrm{sp}^2$ 混成軌道とエチレン分子

V.物質の分子運動

17.熱は粒子の運動エネルギーである
 17.1 気体の運動エネルギー
 17.2 固体の運動エネルギー
 17.3 温度と物質の内部エネルギー
18.熱エネルギーは分子内運動に分配される
 18.1 二原子分子の分子内運動
 18.2 多原子分子の分子内運動
 18.3 熱エネルギーの分配
19.分子の並進速度には分布がある
 19.1 ボルツマン分布則
 19.2 一次元空間と二次元空間の速度分布
 19.3 三次元空間の速度分布
20.並進エネルギーは圧力と温度に反映される
 20.1 気体分子の速さの平均値
 20.2 圧力と並進エネルギー
 20.3 温度と並進エネルギー

VI.物質の熱平衡

21.熱力学的過程は条件で異なる
 21.1 定容過程
 21.2 定圧過程
 21.3 等温過程と断熱過程
22.エンタルピーは仕事エネルギーを考慮する
 22.1 定容過程の内部エネルギーの変化
 22.3 定圧過程のエンタルピーの変化
 22.2 定圧過程以外のエンタルピーの変化
23.エントロピーは乱雑さを表す
 23.1 気体の真空への拡散
 23.2 分子集団の微視的状態数
 23.3 熱エネルギーとエントロピー
24.自由エネルギーはエントロピーを考慮する
 24.1 微視的状態数とボルツマン分布則
 24.2 束縛エネルギーと自由エネルギー
 24.3 系の $4$ 種類のエネルギーの関係

VII.物質の相平衡

25.エンタルピーは相変化で変わる
 25.1 氷,水,水蒸気の状態図
 25.2 エンタルピーの温度変化
 25.3 エントロピーの温度変化
26.ギブズエネルギーは相平衡で変化しない
 26.1 ギブズエネルギーの温度変化
 26.2 水と水蒸気の相平衡
 26.3 蒸気圧曲線と蒸発エンタルピー
27.化学ポテンシャルはモル分率に依存する
 27.1 混合エントロピー
 27.2 物質量の異なる $2$ 種類の気体の混合
 27.3 化学ポテンシャル
28.溶液の相平衡を化学ポテンシャルで考える
 28.1 純物質と希薄溶液の化学ポテンシャル
 28.2 希薄溶液の凝固点降下
 28.3 希薄溶液の沸点上昇
29.浸透圧を化学ポテンシャルで考える
 29.1 溶媒の移動に伴う圧力差
 29.2 化学ポテンシャルの圧力依存性
 29.3 電解質溶液の浸透圧

VIII.物質の化学平衡

30.系のエネルギーは化学反応で変わる
 30.1 化学反応に伴う系のエネルギーの変化
 30.2 標準モル生成エンタルピー
 30.3 標準モル生成ギブズエネルギー
31.化学反応の速さは温度に依存する
 31.1 反応物と生成物の結合エネルギー
 31.2 遷移状態と活性化エネルギー
 31.3 化学反応に伴う濃度の時間変化
32.化学平衡を化学ポテンシャルで考える
 32.1 濃度平衡定数と圧平衡定数
 32.2 平衡定数と化学ポテンシャル
 32.3 平衡定数の温度依存性
33.気体と固体は液体に溶解する
 33.1 気相中と水溶液中でのイオン化
 33.2 気体の溶解度
 33.3 固体の溶解度
34.電気エネルギーが化学反応で生まれる
 34.1 化学電池の標準電極電位
 34.2 化学電池のエンタルピー
 34.3 電解質水溶液の電気分解

基礎物理定数
参考図書
ケミカル川柳
索引 (pdfファイル)

著作者紹介

中田 宗隆
なかた むねたか 
1953年 愛知県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士後期課程中退。東京大学助手、広島大学講師、東京農工大学助教授・教授などを歴任。主な著書に『きちんと単位を書きましょう』(共著、東京化学同人)、『基礎コース物理化学I〜IV』(以上 東京化学同人)、『なっとくする機器分析』(講談社)などがある。

岩井 秀人
いわい ひでと 
1974年 神奈川県に生まれる。中央大学卒業。現在 逗子開成中学校・高等学校教諭。主な著書に『化学基礎 academia』『化学 academia』(以上 共著、実教出版)などがある。

(情報は初版刊行時のから一部修正しています)


この著作者の本
『演習で学ぶ 化学熱力学』
演習で学ぶ
化学熱力学


『化学結合論』
化学結合論


関連書籍
『読み物 物理化学』
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