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※電子書籍はいずれも本文中の図版等の一部をカラーにした カラー版 です。
カラー版内容見本(PDFファイル)
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日本比較内分泌学会 編集委員会
北里大学海洋生命科学部教授 博士(農学) 水澤寛太・
水産研究・教育機構中央水産研究所研究副部長 博士(理学) 矢田 崇 共編
A5判/280頁/定価3190円(本体2900円+税10%)/2016年10月発行
ISBN 978-4-7853-5120-5
C3045
生物は身を守るためにさまざまな防御手段をもっている。分子レベルで異物を認識し排除する免疫、自らの姿を周囲の風景に溶け込ませることによって敵をやり過ごす擬態、全体の力で外敵に備える“群れ”……。これらの別個に見える一連の防御活動に広く目を向けることは、ホルモンの多機能性と進化を理解する上で大変に重要である。
本書では、生体防御を司る内分泌系に焦点をあて、第一部では体内における防御機構として、おもに免疫系についてさまざまな観点から解説した。第二部では個体における防御機構として、擬態や保護色、体色変化、粘液などを取り上げた。第三部では集団における防御機構として、群れやなわばり、社会順位、昆虫の社会性などを紹介した。
防御の進化の過程を理解するためには“攻撃”の進化の過程にも目を向ける必要があることから、抗菌ペプチドやヘビ毒などについて、また外分泌系と体内の生体防御メカニズムは無関係ではないとの視点から、魚類と両生類の外分泌系などについても章をあてて紹介した。
サポート情報
◎ はじめに (pdfファイル)
◎ 索引 (pdfファイル)
◎ 執筆者一覧 (所属は執筆当時。pdfファイル)
1.序論 −野生の内分泌−
第1部 体内の攻防
2.生体防御と比較内分泌学 −免疫−神経−内分泌クロストーク−
3.ウイルスの侵入
4.生理活性物質とミトコンドリア
5.魚類下垂体と免疫
6.ヒトにおける妊娠免疫
7.魚類における妊娠免疫
第2部 個としての攻防
8.昆虫の擬態 −擬態進化の解明に向けて−
9.鳥類と哺乳類の保護色
10.光があやつる魚類の体色とホルモン
11.魚類の粘液
12.生体防御ペプチドによる両生類の先天的防御機構
13.蛇毒成分の多様な生理機能と分子進化・遺伝子発現
第3部 集団による攻防
14.動物はなぜ群れを形成するのか
15.魚類における社会順位とホルモン
16.魚類のなわばりと防御行動
17.集団とリズム
18.昆虫における社会性のメカニズム −シロアリの社会行動とカースト分化−
はじめに (pdfファイル)
1.序論 −野生の内分泌− [水澤寛太・矢田 崇]
1.1 なわばり
1.2 体色
1.3 免疫とホルモン
1.4 おわりに
第1部 体内の攻防
2.生体防御と比較内分泌学 −免疫−神経−内分泌クロストーク− [倉田祥一朗]
2.1 身を守る術 −生まれながらもつ免疫系と,感染して獲得する免疫系−
2.2 昆虫を用いた免疫研究から −液性と細胞性の免疫応答−
2.3 免疫系と神経系のクロストーク
2.4 免疫系と内分泌系のクロストーク
3.ウイルスの侵入 [伊藤克彦]
3.1 生物の多様性とウイルス
3.2 カイコの生活史と内分泌
3.3 カイコのウイルス病
3.4 カイコの生体防御とウイルス
3.5 昆虫のウイルス研究
4.生理活性物質とミトコンドリア [向井秀仁]
4.1 タンパク質とペプチド
4.1.1 タンパク質とは
4.1.2 ペプチドとは
4.1.3 タンパク質とペプチドの相違点
4.2 生体内でのペプチドの生合成
4.2.1 タンパク質の生合成と成熟化
4.2.2 ペプチドの生合成と生理活性ペプチドとしての成熟化
4.2.3 生理活性ペプチドの生合成と成熟化の新たな展開
4.3 生理活性ペプチドの生体機能と作用機序
4.4 ミトコンドリアの古典的機能と新たな役割
4.5 「非古典的生理活性ペプチド」
−タンパク質に隠された生理活性ペプチド,「クリプタイド」−の発見
4.5.1 好中球と自然免疫ならびに病態との関連
4.5.2 非古典的生理活性ペプチド:クリプタイドの発見
4.6 ミトコンドリア由来生理活性物質の新たな展開
4.7 おわりに
5.魚類下垂体と免疫 [矢田 崇]
5.1 古典的発想からの出発
5.2 ストレス反応と免疫
5.3 病気と健康と成長とGH
5.4 下垂体の外へ
5.5 水に棲む生き物としての免疫
6.ヒトにおける妊娠免疫 [和泉俊一郎・近藤朱音・亀谷美恵]
6.1 はじめに
6.2 胎児は,母からみれば半分他人である
6.3 母体免疫系の変化
6.4 胎児を守る防護壁としての胎盤
6.5 局所免疫調整因子を産生する胎盤
6.6 妊娠子宮内での免疫細胞集団の変化
7.魚類における妊娠免疫 [中村 修]
7.1 胎生は動物界に広く分布する
7.2 自己? 非自己認識の進化
7.3 胎生魚の多様な繁殖様式
7.4 ウミタナゴ科魚の生殖サイクル
7.5 母親と胎仔魚は免疫学的に接触するか
7.6 卵巣腔液の働き
7.7 卵巣に分布する白血球
7.8 母仔間免疫と胎仔魚の免疫機構の発達
7.9 結び
第2部 個としての攻防
8.昆虫の擬態 −擬態進化の解明に向けて− [新美輝幸]
8.1 擬態とは
8.2 さまざまな擬態の事例
8.2.1 隠蔽的擬態
8.2.2 ベーツ型擬態
8.2.3 ミュラー型擬態
8.2.4 攻撃型擬態(ペッカム型擬態)
8.3 擬態斑紋をもたらす分子メカニズム
8.3.1 ホルモンによる擬態斑紋の調節
8.3.2 チョウの擬態斑紋遺伝子の同定
8.4 擬態研究のための新規モデル生物の開発
8.4.1 テントウムシを巡る擬態
8.4.2 ナミテントウの新規モデル化
9.鳥類と哺乳類の保護色 [竹内 栄]
9.1 哺乳類と鳥類の体色
9.2 毛や羽の色
9.3 毛や羽の形成とメラニンによる着色
9.4 メラノサイトによるメラニン産生とその制御
9.5 逆影と保護色をつくるしくみ
9.6 体色多様化の分子機構
10.光があやつる魚類の体色とホルモン [高橋明義・水澤寛太]
10.1 生きのびるための体色
10.2 魚類の高機能色彩感覚
10.3 眼から鱗への光情報伝達
10.4 魚類の体色変化におけるホルモンの相互作用
10.5 α-MSHの意外な作用
10.6 光があやつる生命現象
10.7 展望
11.魚類の粘液 [筒井繁行]
11.1 粘液のもつ意味とは?
11.2 皮膚を構成する細胞
11.3 粘液中の防御因子:(1)抗体
11.4 粘液中の防御因子:(2)酵素
11.5 粘液中の防御因子:(3)抗菌ペプチド
11.6 粘液中の防御因子:(4)レクチン
11.7 粘液レクチンの多様性
12.生体防御ペプチドによる両生類の先天的防御機構 [岩室祥一・小林哲也]
12.1 抗菌ペプチドとは
12.2 アカガエル科抗菌ペプチドの特徴
12.3 抗菌ペプチドの作用機序
12.4 抗菌ペプチドの発現と内分泌系
12.5 抗菌ペプチドから多機能性生体防御ペプチドへ
13.蛇毒成分の多様な生理機能と分子進化・遺伝子発現 [上田直子]
13.1 はじめに
13.2 ハブ毒成分の構造・機能
13.3 ハブ毒PLA2アイソザイムの構造と機能
13.4 ハブ毒PLA2アイソザイムの加速進化
13.5 ハブ毒PLA2アイソザイムの地域特異的な分子進化と遺伝子発現
13.6 今後の展望
第3部 集団による攻防
14.動物はなぜ群れを形成するのか [沓掛展之・加藤貴大]
14.1 動物行動と適応進化
14.2 「種のため」の誤り
14.3 群れ形成の利益とコスト
14.4 「ストレス」の定義と問題点
14.5 アロスタシス負荷 −「守」の社会内分泌学的基盤−
14.6 群れ生活とGCレベル
14.6.1 利益
14.6.2 コスト
14.7 行動生態学・進化生物学との連携可能性
15.魚類における社会順位とホルモン [岩田惠理]
15.1 魚類の社会構造
15.2 社会的群れにおける社会順位
15.3 社会順位と性ステロイドホルモン
15.4 社会順位とストレスホルモン
15.5 社会順位とペプチドホルモン
15.6 なわばりに関係する社会順位
15.7 おわりに
16.魚類のなわばりと防御行動 [棟方有宗]
16.1 なわばり,攻撃,防御行動の定義
16.2 サケ科魚類のなわばり・攻撃行動
16.3 サケ科魚類のなわばり争いに影響を及ぼす内分泌因子
16.3.1 サケ科魚類のなわばり争いと成長ホルモン
16.3.2 サケ科魚類のなわばり争いと性ホルモン
16.3.3 サケ科魚類のなわばり争いと甲状腺ホルモン
16.4 被攻撃魚の行動応答(防御行動) −反撃,逃避を中心として−
16.5 被攻撃魚の生理的応答
16.6 まとめ
17.集団とリズム [竹村明洋・竹内悠記]
17.1 個と集団
17.2 集団のリズム
17.3 環境に同調した内因性のリズムとその伝達のしくみ
17.4 集団とリズムを操るホルモンとその働き
17.5 集団形成のしくみ
18.昆虫における社会性のメカニズム −シロアリの社会行動とカースト分化− [三浦 徹]
18.1 真社会性昆虫とは
18.2 カースト間の分業とカースト分化
18.3 カースト分化における形態改変
18.4 幼若ホルモンによるカースト制御
18.5 インスリン経路
18.6 ツールキット遺伝子の発現
18.7 個体間相互作用に関わる分子:フェロモン
18.8 社会性の進化
略語表
索引 (pdfファイル)
執筆者一覧 (所属は執筆当時。pdfファイル)
謝辞
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水澤 寛太
みずさわ かんた
1974年 千葉県に生まれる。東京大学農学部卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。北里大学講師・准教授などを経て現職。専門は魚類分子内分泌学。
矢田 崇
やだ たかし
1964年 東京都に生まれる。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。北里大学客員教授。専門は魚類生理学・内分泌学。
→ 執筆者一覧 (所属は執筆当時。pdfファイル)
日本比較内分泌学会(JSCE)
日本にも生物学的観点を主体とした基礎的な内分泌学の発展を図るため学会を設けるべきであるという内外の要請を受けて、1975年に設立。生物学・農学・医学・薬学など幅広い分野から会員が参加している。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
比較内分泌学入門
発生・変態・リズム
成長・成熟・性決定
求愛・性行動と脳の性分化
ホメオスタシスと適応
回遊・渡り
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