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これからの爬虫類学
The Directions in Herpetology
京都大学名誉教授 理博 松井正文 編
A5判上製/288頁/定価4950円(本体4500円+税10%)/2017年2月発行
ISBN 978-4-7853-5867-9
C3045
1万種以上からなる現生爬虫類は、(1)ムカシトカゲ目、(2)有鱗目(ミミズトカゲ亜目・トカゲ亜目・ヘビ亜目)、(3)ワニ目、(4)カメ目の4群に大別され、日本にはトカゲ亜目41種5亜種、ヘビ亜目41種6亜種、カメ目14種1亜種が生息する。その60%強が日本だけに見られる固有種・固有亜種である。
本書は、今後の研究の礎とすべく、進展する爬虫類研究の中で、生態と行動、遺伝と系統分類、保全や飼育・防除などを中心に、第一線の研究者が研究の現状と将来展望等を紹介する。また、恐竜類などの化石爬虫類についても取り上げた。
サポート情報
◎ 生物名(和名)索引 (pdfファイル)
◎ 生物名(学名)索引 (pdfファイル)
◎ 事項索引 (pdfファイル)
◎ 編集者・執筆者紹介 (pdfファイル)
◎ 正誤表 (pdfファイル)
第 I 編 爬虫類学の現状
1.爬虫類学と日本における研究史 [松井正文]
第 II 編 爬虫類の生態と行動
2.爬虫類の生態学の最前線 [竹中 践]
3.キノボリトカゲの生態・行動 −体サイズの性的二型を中心に−[田中 聡]
4.カナヘビ類の繁殖生態 [竹中 践]
5.日本産イシガメ科カメ類の生態 [安川雄一郎]
6.ヘビ類の行動 [森 哲]
7.島嶼の爬虫類 −伊豆諸島のオカダトカゲ− [疋田 努]
8.爬虫類の寄生虫学 [長谷川英男]
第 III 編 爬虫類の遺伝と系統分類
9.単為生殖の爬虫類 [太田英利]
10.イシガメ科の系統分類 [安川雄一郎]
11.カメ類などの化石爬虫類 [平山 廉]
12.日本産ヘビ類の分類 [鳥羽通久]
13.爬虫類の分子系統学 [本多正尚]
14.琉球列島における陸生爬虫類の種分化 [戸田 守]
第 IV 編 爬虫類の保全・飼育・防除
15.爬虫類の保全 [太田英利・当山昌直]
16.ウミガメ類の研究の現状と保全 [亀崎直樹]
17.爬虫類の飼育と繁殖 [千石正一]
18.ハブの生態と防除 [西村昌彦]
第 V 編 爬虫類学の未来
19.爬虫類学の現状と将来に向けて [松井正文]
第 I 編 爬虫類学の現状
1.爬虫類学と日本における研究史 [松井正文]
1-1 はじめに −爬虫類学とは−
1-2 爬虫類とは
1-2-1 爬虫類の特徴
1-2-2 爬虫類の系統と分類
1-2-3 日本の爬虫類相
1-3 日本における爬虫類研究の歴史
1-4 おわりに
第 II 編 爬虫類の生態と行動
2.爬虫類の生態学の最前線 [竹中 践]
2-1 爬虫類の特徴から生じる生態学的基本問題
2-2 爬虫類の特徴と行動生態学
2-3 食性と種間関係
2-4 生活史に関わる要因
2-5 爬虫類の生態学研究の新たな傾向
3.キノボリトカゲの生態・行動 −体サイズの性的二型を中心に−[田中 聡]
3-1 はじめに
3-2 体サイズの性的二型の確認
3-3 採餌行動と餌利用 −食物をめぐる性間競争仮説の検討−
3-4 雄と雌の繁殖成功度の比較 −性選択仮説の検討−
4.カナヘビ類の繁殖生態 [竹中 践]
4-1 トカゲ類、カナヘビ類の繁殖生態学とは
4-2 トカゲ類の繁殖生態学の変遷
4-3 カナヘビ類の繁殖生態
4-4 カナヘビ類の繁殖生態学の今後の展望
5.日本産イシガメ科カメ類の生態 [安川雄一郎]
5-1 はじめに
5-2 日本産イシガメ科カメ類とその生態学的研究
5-2-1 生息環境と季節的移動
5-2-2 個体群構成と成長
5-2-3 繁 殖
5-2-4 食 性
5-3 おわりに
6.ヘビ類の行動 [森 哲]
6-1 行動の研究方法
6-1-1 観 察
6-1-2 研究の手順
6-2 主立った行動とその研究例
6-2-1 体温調節行動
6-2-2 対捕食者行動
6-2-3 社会行動
6-2-4 採餌行動
6-3 ヘビの行動学はこれから
7.島嶼の爬虫類 −伊豆諸島のオカダトカゲ− [疋田 努]
7-1 はじめに
7-2 オカダトカゲの分類史
7-3 伊豆諸島の生物地理仮説
7-3-1 古伊豆半島説と海上分散説
7-3-2 伊豆半島の衝突と伊豆諸島地域の古地理
7-4 オカダトカゲ
7-4-1 オカダトカゲの種分化とその時期
7-4-2 オカダトカゲの種内の分化
7-4-3 オカダトカゲの体色の変異
7-4-4 オカダトカゲの捕食者
7-4-5 生活史特性の地理的変異
7-4-6 オカダトカゲの鱗の形質の変異
7-5 伊豆諸島・伊豆半島の爬虫類相
7-6 おわりに
8.爬虫類の寄生虫学 [長谷川英男]
8-1 はじめに
8-2 宿主特異性はあるか
8-3 特異な生活環を有する寄生虫
8-3-1 哺乳類を中間宿主とする線虫
8-3-2 超早熟の寄生虫
8-3-3 世代交代をする寄生線虫
8-4 多型性を示す寄生虫
8-5 陸生爬虫類寄生虫の動物地理学
8-6 おわりに
第 III 編 爬虫類の遺伝と系統分類
9.単為生殖の爬虫類 [太田英利]
9-1 単為生殖とは
9-2 絶対的単為生殖をする爬虫類の特徴
9-3 絶対的単為生殖をする爬虫類の起源と進化
9-4 日本の絶対的単為生殖爬虫類
9-4-1 オガサワラヤモリ(Lepidodactylus lugubris )
9-4-2 キノボリヤモリ(Hemiphyllodactylus typus )
9-4-3 ブラーミニメクラヘビ(Indotyphlops braminus )
9-5 近年相次ぐ、爬虫類における条件的単為生殖の事例
10.イシガメ科の系統分類 [安川雄一郎]
10-1 はじめに
10-2 リクガメ上科4 科の系統関係
10-3 イシガメ科内の系統関係
11.カメ類などの化石爬虫類 [平山 廉]
11-1 日本産の化石爬虫類について
11-2 カメ類
11-3 恐竜類
11-4 その他の爬虫類
11-5 おわりに:羽毛恐竜の発見など
12.日本産ヘビ類の分類 [鳥羽通久]
12-1 はじめに
12-2 日本列島主要部のヘビ類
12-2-1 ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus )
12-2-2 ヒバカリ(Hebius vibakari vibakari )
12-2-3 ナメラ属(Elaphe )
12-2-4 ジムグリ属(Euprepiophis )
12-2-5 マダラヘビ属(Dinodon )
12-2-6 タカチホヘビ(Achalinus spinalis )
12-2-7 マムシ属(Gloydius )
12-3 南西諸島のヘビ類
12-4 ウミヘビ類
13.爬虫類の分子系統学 [本多正尚]
13-1 なぜ遺伝子を分析するのか
13-2 分子系統から何がわかるか
13-2-1 スベトカゲ亜科とは
13-2-2 形態学・核学・免疫学からわかったこと
13-2-3 問題はどこにあるか
13-2-4 マブヤトカゲグループの分化
13-2-5 スベトカゲ亜科の系統関係
13-3 「これから」の爬虫類分子系統学
14.琉球列島における陸生爬虫類の種分化 [戸田 守]
14-1 はじめに
14-2 複数の系統群に共通する種分化パターンと地理的分断
14-3 琉球列島の島々の隔離と種分化 −爬虫類相の類似度に基づく議論−
14-4 爬虫類相の類似度に基づく古地理推定の問題点
14-5 種や集団間の分化の古さを調べる −分子情報を用いた系統地理解析の有用性−
14-6 系統地理学解析の実践に向けて
14-7 系統地理情報に基づく古地理推定の理論的基盤
14-8 古地理の推定から種分化学へ −外的要因の特定の先にあるもの−
14-9 系統地理解析の基盤としての分類学の重要性
14-10 おわりに
第 IV 編 爬虫類の保全・飼育・防除
15.爬虫類の保全 [太田英利・当山昌直]
15-1 はじめに
15-2 レッドデータブックの改訂
15-2-1 レッドリスト、レッドデータブックとは
15-2-2 1991年版レッドデータブックの内容は2000年版でどう変わったか
15-2-3 1991年版レッドデータブックの内容は2000年版でなぜ変わったか
15-3 最新版(2014年版)のレッドデータブックの内容と今後の課題
16.ウミガメ類の研究の現状と保全 [亀崎直樹]
16-1 はじめに
16-2 分類・系統
16-3 発生、とくに温度依存性決定について
16-4 行動・生態
16-5 日本近海のウミガメ類の現状
16-5-1 アカウミガメ
16-5-2 アオウミガメ
16-5-3 タイマイ
16-5-4 その他
16-6 ウミガメ類の保護
17.爬虫類の飼育と繁殖 [千石正一]
17-1 はじめに
17-1-1 飼育とはどういうことか
17-1-2 なぜ飼うのか
17-2 爬虫類の飼育をめぐる問題
17-2-1 飼育の目的と展開
17-2-2 研究者と飼育者
17-2-3 希少種に強い圧力
17-2-4 日本の爬虫類輸入の実態
17-2-5 外来化の要因
17-3 保全のための飼育
17-3-1 域外保全
17-3-2 ワニの保全と利用
17-4 爬虫類飼育の未来
17-4-1 公共的な飼育
17-4-2 私的飼育の姿勢
18.ハブの生態と防除 [西村昌彦]
18-1 はじめに
18-2 ハブの概説と被害
18-3 ハブ対策とその研究の現状
18-3-1 ハブ対策の道具
18-3-2 研究段階の道具
18-4 研究面でのハブゆえの利点
18-4-1 ハブ自体の資料
18-4-2 咬症と目撃の資料
18-5 研究面での困難さや課題
18-6 ハブ対策の進展のために
第 V 編 爬虫類学の未来
19.爬虫類学の現状と将来に向けて [松井正文]
19-1 日本の爬虫類研究の現状
19-1-1 日本における爬虫類研究の現状
19-1-2 日本爬虫両棲類学会和文誌
19-1-3 日本爬虫両棲類学会英文誌
19-1-4 日本動物学会機関誌
19-2 世界における爬虫類研究の現状と将来
19-3 爬虫類学の研究課題と将来の問題
19-4 爬虫類学を始める人のために
19-5 本書の刊行の経緯についての断り書き
参考文献・引用文献一覧
生物名(和名)索引 (PDFファイル)
生物名(学名)索引 (PDFファイル)
事項索引 (PDFファイル)
編集者・執筆者紹介 (PDFファイル)
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松井 正文
まつい まさふみ
1950年 長野県に生まれる。信州大学繊維学部卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程中退。京都大学助手・助教授・教授などを歴任。元 日本爬虫両棲類学会会長。主な著書に『両生類の進化』(東京大学出版会)、『カエル−水辺の隣人』(中公新書)、『動物系統分類学第9巻下B2 脊椎動物(IIb2)爬虫類II』(中山書店)、『外来生物クライシス』(小学館)などがある。
→ 編集者・執筆者紹介
(PDFファイル)
(執筆者の所属は初版刊行時)
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
これからの両棲類学
(品切れ中)
これからの鳥類学
(品切れ中)
脊椎動物の多様性と系統
動物の生態
動物の系統分類と進化
動物行動の分子生物学
マダガスカルの動物
ヒキガエルの生物学
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