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『植物の生態(改訂版)』 内容見本


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新・生命科学シリーズ 
植物の生態(改訂版)−生理機能を中心に−
Plant Physiological Ecology −revised edition−

在庫マーク

東京大学名誉教授 理博 寺島一郎 著

A5判/288頁/2色刷/定価3300円(本体3000円+税10%)/2024年10月5日発行
ISBN 978-4-7853-5877-8  C3045

 生態学の発展はとどまるところを知らない。地球環境や生物多様性などさまざまな課題に多くの研究者が挑み、分子生物学や情報科学を駆使した成果があげられている。研究前線に立とうとする学生や大学院生に、生態系機能の基礎となる一次生産者=植物の生理生態も学んでほしいと願い、2013年に植物生理生態学の基本的な教科書として本書初版を上梓した。
 今回の改訂版では、必要な修正を施すとともに、基本的な記述を充実させ、植物生態学、植物生理学、植物分子生物学を学ぶ学生にとってより一層役立つ書籍となった。なお、発展的な内容は「電子補遺」としてWebページに掲載しており(下記参照)、本書とあわせて通読すれば、さらに各分野の専門書を読む力をつけることができるであろう。


サポート情報

電子補遺 (pdfファイル
改訂版まえがき (pdfファイル)    索引 (pdfファイル)
旧版(2013年発行)の紹介ページ

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.はじめに:生態学とはどういう学問なのだろうか
2.生物の環境適応
3.陸上植物の進化
4.植物の特徴:個体,細胞,組織と器官
5.植物と水
6.植物の光環境と光吸収
7.光合成のあらまし
8.光合成の生理生態学
9.呼吸と転流
10.無機栄養の獲得
11.成長と分配
12.陸域生態系の生態学

詳細目次  →植物の生態(改訂版) 目次

改訂版まえがき (pdfファイル)

1.はじめに:生態学とはどういう学問なのだろうか
 1.1 生態学という言葉
 1.2 生態学の定義
 1.3 生態学の歴史

2.生物の環境適応
 2.1 環境とニッチ
 2.2 環境への適応のメカニズム
  2.2.1 適応度
  2.2.2 遺伝的変異と自然選択
  2.2.3 進化
  2.2.4 適応による進化の限界
  2.2.5 適応と順化
  2.2.6 育種
 2.3 トレードオフ
 2.4 「種の存続のため」という考え方は正しくない

3.陸上植物の進化
 3.1 陸上植物の誕生
 3.2 陸上は乾燥している
  3.2.1 陸上の乾燥
  3.2.2 クチクラ
  3.2.3 気孔
  3.2.4 世代交代
  3.2.5 菌類
 3.3 陸上植物の体制の進化

4.植物の特徴:個体,細胞,組織と器官
 4.1 植物の個体
  4.1.1 分節構造(くり返し構造)
  4.1.2 クローナル植物
 4.2 植物の細胞
  4.2.1 細胞壁
  4.2.2 色素体
  4.2.3 液胞
  4.2.4 細胞分裂と原形質連絡
  4.2.5 アポプラストとシンプラスト
  4.2.6 外骨格型と風船型の形態保持
  4.2.7 分裂組織
 4.3 組織と組織系
 4.4 器官
  4.4.1 葉
  4.4.2 根
  4.4.3 茎

5.植物と水
 5.1 化学ポテンシャルと水ポテンシャル
 5.2 気相の水ポテンシャル
 5.3 植物体全体の水の流れ SPAC
  5.3.1 蒸散
  5.3.2 蒸散中の葉は道管・仮道管内の水を引っ張る
  5.3.3 100m水をもちあげるメカニズム
  5.3.4 土壌から植物への水の流れ
 5.4 植物体の通水コンダクタンス,水分状態の日変化

6.植物の光環境と光吸収
 6.1 太陽光
  6.1.1 太陽光の波長組成
  6.1.2 太陽光のエネルギー総量
 6.2 反射率と射出率
 6.3 植物による光吸収
  6.3.1 クロロフィルによる光の吸収
  6.3.2 葉緑体の光吸収
  6.3.3 葉の光吸収
  6.3.4 葉群の光吸収,葉群内部の葉の光吸収
 6.4 植物の光環境応答
  6.4.1 フィトクロム
  6.4.2 フォトトロピン
  6.4.3 クリプトクロム

7.光合成のあらまし
 7.1 光合成の場
 7.2 光合成のあらまし
  7.2.1 光合成色素による光の吸収
  7.2.2 励起エネルギーの移動と電荷分離
  7.2.3 電子伝達,それに伴う $\rm{H^+}$ の移動,$\rm{NADPH}$ と $\rm{ATP}$ の合成
  7.2.4 還元的ペントースリン酸回路
  7.2.5 光呼吸
 7.3 $\rm{C4}$ と $\rm{CAM}$
  7.3.1 $\rm{C4}$ と $\rm{CAM}$ の代謝系
  7.3.2 $\rm{C4}$ の進化
 7.4 光合成とその効率
 7.5 ファーカー(G. D. Farquhar)の光合成モデル

8.光合成の生理生態学
 8.1 気孔コンダクタンス,葉肉コンダクタンス
  8.1.1 気孔コンダクタンス
  8.1.2 葉肉コンダクタンス
 8.2 葉の光合成の環境依存性および可塑性
  8.2.1 光
  8.2.2 $\rm{CO_2}$ 濃度依存性
  8.2.3 窒素栄養
  8.2.4 水分
  8.2.5 温度
  8.2.6 温度と光
  8.2.7 ルビスコの性質と環境依存性
 8.3 光阻害とその回避,修復
  8.3.1 受光量の調節
  8.3.2 励起エネルギーの熱散逸
  8.3.3 $\rm{D1}$ タンパク質の損傷と修復
 8.4 個葉の光合成
 8.5 葉群の光合成

9.呼吸と転流
 9.1 呼吸
  9.1.1 呼吸の代謝
  9.1.2 構成呼吸と維持呼吸
 9.2 転流

10.無機栄養の獲得
 10.1 栄養塩吸収の場
 10.2 栄養塩吸収の基礎
 10.3 $\rm{N}$
  10.3.1 土壌中の $\rm{N}$
  10.3.2 $\rm{NO_3{}^-}$ の吸収とシグナルとしての $\rm{NO_3{}^-}$
  10.3.3 $\rm{NH_4{}^+}$
 10.4 $\rm{P}$
 10.5 $\rm{Fe}$
 10.6 $\rm{Al}$
 10.7 $\rm{Si}$
 10.8 重金属耐性植物
 10.9 菌根
 10.10 窒素固定

11.成長と分配
 11.1 成長解析
 11.2 成長と窒素利用効率
 11.3 物質再生産過程
 11.4 地上部と地下部の比率
 11.5 繁殖器官への分配
  11.5.1 包括的モデル
  11.5.2 最適切換え
  11.5.3 多年生草本や木本のように毎年種子をつくる場合の生涯の繁殖量
  11.5.4 二年生草本の繁殖戦略
 11.6 樹木の成長解析
  11.6.1 パイプモデル
  11.6.2 枝の自律性

12.陸域生態系の生態学
 12.1 世界の陸上生態系
  12.1.1 大気の大循環と気候帯の成立
  12.1.2 大気の循環と気候
  12.1.3 土壌
  12.1.4 陸域の生態系
 12.2 純一次生産
  12.2.1 純一次生産
  12.2.2 生態系の一次生産量の推定
  12.2.3 渦相関法とリモートセンシング
 12.3 世界の植生の一次生産
 12.4 遷移
 12.5 地球環境変化

参考文献・引用文献
索引 (pdfファイル)

コラム1.1 自然保護の先駆者:三好 学と南方熊楠
コラム2.1 スケトウダラの卵数がもつ意味
コラム2.2 ダーウィンの自然選択説
コラム2.3 水平伝播(horizontal gene transfer)について
コラム2.4 How疑問とWhy疑問
コラム3.1 上陸に成功した藻類
4章BOX 化学ポテンシャル
コラム4.1 樹木を補強する「あて材」
コラム5.1 洗濯物を早く乾かすには
コラム6.1 $r$ 戦略と $K$ 戦略
コラム7.1 ルビスコ:地球上でもっとも多いタンパク質
7章BOX 葉のガス交換速度の測定
コラム9.1 酸素安定同位体法によるシアン耐性呼吸経路の活性測定
コラム10.1 枯渇しつつあるリン資源
コラム11.1 根分法(split root technique)と接ぎ木(grafting)
コラム11.2 花成のメカニズム
コラム12.1 空気の断熱膨張とフェーン(Föhn,Foehn)現象
コラム12.2 草,常緑樹と落葉樹,雨緑樹と夏緑樹,葉の寿命
コラム12.3 IBPにおける光合成生産力の測定
コラム12.4 水圏の生産


著作者紹介

寺島 一郎
てらしま いちろう 
1957年 福岡県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京大学助手、筑波大学助教授、大阪大学教授、東京大学教授などを歴任。第31代日本植物学会会長、台湾・國立中興大學生命科學院 玉山学者−専案教授。主な著書に『植物学の事典』(編著、丸善出版)、『光合成』(分担執筆、朝倉書店)、“Canopy Photosynthesis”(分担執筆、Springer)、“The Leaf: A Platform for Performing Photosynthesis”(編著、Springer)などがある。

(情報は初版刊行時のものです)


関連書籍
「新・生命科学シリーズ」

『植物の成長』
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『しくみと原理で解き明かす 植物生理学』
しくみと原理で解き明かす
植物生理学


『植物生理学』
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