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物理学レクチャーコース

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「物理学レクチャーコース」の紹介ページへ

編集委員・編集サポーターからのメッセージ
〜 刊行に寄せて 〜

(2024/9/26更新)

編集委員・編集サポーター
「物理学レクチャーコース」編集委員&サポーター
左から 山本貴博、小形正男、須貝駿貴、ヨビノリたくみ、永江知文(敬称略)
→ 編集委員・編集サポーターのプロフィール

編集委員:永江知文
京都大学名誉教授、高エネルギー加速器研究機構名誉教授、理学博士、第75・76期 日本物理学会会長

 21世紀も、既に20年以上が経ちました。この間の日本人のノーベル物理学賞受賞者は、様々な分野において9名にものぼっています。これまで「現代物理学」といえば、20世紀に確立した量子力学や相対性理論を指していましたが、物理学の今は、重力波の検出、ニュートリノ質量、系外惑星の発見、青色発光ダイオードの発明、宇宙の加速膨張などの新たな発見が、続々と新しい分野を切り拓いています。
 この「物理学レクチャーコース」では、「現代物理学」を新たに定義し、21世紀 のこれからの現代的な物理学の流れを予感するようなコースにしたいと考え、刊行を企画しました。読み手である学生の皆さんが一緒に参加して、21世紀の「現代物理学」を創り上げてみませんか。

編集委員:小形正男
東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 教授、理学博士

 現代では、インターネットで膨大な情報を簡単に集めることができ、AIによって人間の代わりに判断をしてくれることもできるようになりました。しかし、困難に直面したときに、それを解決し自分の進むべき道を決定するためには、自分の頭で考えたことに頼るしかありません。このことは、一見、物理とは全く関係ないように見えますが、物理学では一つ一つのことを原理原則に戻って自分の力で考えることを繰り返します。そうしたことを通して、中学校・高等学校でわからなかったこと・不明瞭だった点が、基礎法則から導き出されるという高揚が味わえます。それでも、現代の科学でわからないことは残りますが、わからないことはわからないと明確に意識することも、物理学を学ぶ・研究する過程において、とても大切なことです。
 自ら考える力を鍛えることによって、困難に直面したときに原理原則に立ち戻って問題を理解し解決するという能力が得られると、(大袈裟に言えば)信じています。みなさん、ぜひこの「物理学レクチャーコース」で学んで、思いっきり楽しみながら物理的な思考力を鍛えてください。

編集委員:山本貴博
東京理科大学大学院 理学研究科 物理学専攻 教授、博士(理学)

 突然ですが、いまあなたはルールを全く知らずに将棋の対局を見ているとしましょう。将棋盤の上を多くの駒が複雑に動き回っており、何が何だか分からない状態です。ところが、対局を注意深く眺め続けていると、それぞれの駒の動きにルールが存在していることに気づく事でしょう。実は「物理学」の探究もこれに似ています。一見、複雑で法則性がない様に見える自然現象も、よく観察していると、そこにルールを見出すことができるのです。まさに、将棋盤は自然界に対応し、駒の動きのルールが物理法則に対応します。もちろん、ルールを身につけるにはそれなりの努力と時間が必要ですが、将棋のルールを知ると将棋の対局を見るのが楽しくなるのと同じように、物理学(神様のルールブック)を知ると自然を見たり感じたりすることが楽しくなります。
 そんな経験をしてみたいと思いませんか?「経験したい!」と思った方々の期待に応えられるよう、現在「物理学レクチャーコース」の刊行準備を進めていますので、ぜひ、楽しみにしていてください!
 最後に1つ。「自然界になぜ法則が存在するのか?」それは全くミステリーですね。そんなことを頭の片隅に置いて物理学を学ぶと、1つ1つの法則に神秘を感じ、この自然界の圧倒的な合理性に感動することでしょう。
 Physics is the golden rule of Nature !

編集サポーター:須貝駿貴
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーター、博士(学術)

 物理学が素敵なところの一つは、何が起こっても変わらないところだと私は思います。未曾有の災害や、世界的な流行病があったとしても、リンゴは木から落ちるのです。不変のルールを学び、それを頼りに世界を理解する術を身につけることで、激動の世の中にあっても自分の中に「物理学」という拠り所を作り、困難に立ち向かえると考えています。
 物理学が素敵なところのもう一つは、次々とアップデートされるところだとも思います。昔の人がたどり着けなかった複雑な現象が見つかり、新たな名前が付けられ、皆の共通認識になっていくのです。未知の事柄が少しずつ理解できるというのは人の根源的な喜びだと思いますし、新たなことが見つかったことを世界中の仲間と共有する喜びもまた、代えがたいものです。
 この二つの相反する良いところをもつ物理学だからこそ、普遍的な内容が多いとしても、大学生向けの教科書を新しいものにアップデートする価値はあると思います。現代の目線で書かれたこの「物理学レクチャーコース」が、皆さんの理解を助けることを願っています!

編集サポーター:ヨビノリたくみ
予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師、Webサイト:https://yobinori.jp/

 大学で学ぶ物理学は難しい。
 「高校の頃に学んでいた物理学はどこに行ってしまったのだろう」
 「これはもはや数学としか思えない」
 そんな声が大学生の間からよく聞こえてきます。
 難しいものはどうやっても難しいのですが、分かりにくいものを分かりやすくする努力はできるはず。そのような努力を詰め込んだものが、この「物理学レクチャーコース」です。
 しっかりと理解できれば、高校までの物理学と大学の物理学がちゃんとリンクしていると感じることができるし、数学との区別だってもちろんできるようになります。
 皆さんが、この先も物理学を楽しんでいけるよう、心より願っています! 一緒に頑張りましょう!


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2024年11月
刊行予定

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