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クロロフィル −構造・反応・機能−
Chlorophylls −Structure, Reaction, Function−
元 京都大学教授 理博 三室 守 編集/
名古屋大学名誉教授 工博 垣谷俊昭・
元 京都大学教授 理博 三室 守・
立命館大学教授 理博 民秋 均 執筆
A5判/324頁/定価4400円(本体4000円+税10%)/2011年3月発行
ISBN 978-4-7853-5844-0
C3045
木々や草花,さらには海洋中での光合成を支えるクロロフィルは,私たちの命を繋ぐ源である.そのクロロフィルに関して,とくに日本で様々な新規分子が発見・同定されて新知見が拡がる一方,光合成生物を利用した環境修復やがん治療への応用研究などが始まっている.
本書では,クロロフィルについてその基礎から応用までを解説した.生物学的な機能を中心とした記述ばかりではなく,物理学,化学の面からも踏み込むことによって,物質としての性質を明らかにすることを試みた.
また,同一測定条件下での代表的なクロロフィルの吸収スペクトルをはじめ,クロロフィル類の正確な吸収極大の位置やモル吸光係数などのデータ,さらに定量法や入手法等を掲載するなど,付録情報も充実させた.
本書の姉妹書に『カロテノイド −その多様性と生理活性−』(高市真一 編集)がある.
※本書の執筆・編集作業にご尽力いただきました三室 守先生は,最終校正作業中の2011年2月に逝去されました.謹んでご冥福をお祈り申し上げます.
サポート情報
◎ クロロフィルについての最新情報 (2011/10/11更新)
◎ 生物名索引
◎ 事項索引 (以上 pdfファイル)
◎ 正誤表 (pdfファイル)
1.クロロフィルと光合成
2.クロロフィルの化学
3.クロロフィルの物理学
4.クロロフィルの生物学
5.クロロフィルの分析法
まえがき (pdfファイル)
本書を読むにあたって
1.クロロフィルと光合成
1.1 クロロフィルの研究の歴史
1.2 分子構造と名称
1.2.1 基本骨格と命名法
1.2.2 クロロフィル
1.2.3 バクテリオクロロフィル
1.2.4 配位構造
1.2.5 微量成分
1.2.6 分子構造と名称の不一致
1.3 クロロフィルの分布
1.3.1 光合成生物の分類
1.3.2 光合成細菌
1.3.3 シアノバクテリア
1.3.4 酸素発生型光合成生物
1.3.5 植物の光合成器官以外での蓄積
1.3.6 非光合成細菌
1.3.7 動 物
1.3.8 バイオマーカー
1.4 今後の展望
1.4.1 結晶構造と反応機構
1.4.2 利用・応用
1.4.3 環境問題への貢献
1.4.4 地球の生産性の見積り
第1章のまとめ
第1章の参考文献
コラム1 無酸素型光合成生物
コラム2 Chl d の再発見
コラム3 一次共生と二次共生
2.クロロフィルの化学
2.1 光物性
2.1.1 π骨格
2.1.2 置換基
2.1.3 配位(分子間相互作用)
2.1.4 会合体形成
2.1.5 偏光性
2.1.6 電子遷移
2.2 化学反応性
2.2.1 エピマー化
2.2.2 アロマー化
2.2.3 フェオフィチン化
2.2.4 π骨格変化
2.2.5 酸化還元
2.2.6 分子軌道法による電子遷移状態の説明
2.3 化学合成
2.3.1 全合成
2.3.2 部分合成
2.3.3 官能基変換
2.3.4 化学からみた生合成系の合理性
2.4 利用法
2.4.1 色素増感太陽電池
2.4.2 人工光合成(水素発生)
2.4.3 光線力学療法(PDT)
2.4.4 環境モニター
第2章のまとめ
第2章の参考文献
3.クロロフィルの物理学
3.1 クロロフィル分子の特徴
3.2 共役分子の性質
3.3 分子の構造と振電状態
3.3.1 ボルン・オッペンハイマー近似
3.3.2 分子の電子状態
3.3.3 分子振動
3.4 光吸収と蛍光
3.4.1 光吸収の原理
3.4.2 光吸収スペクトル
3.4.3 蛍光スペクトル
3.5 クロロフィル分子の光学的性質
3.5.1 クロロフィル分子の光学的実測データ
3.5.2 クロロフィル分子の光吸収スペクトルの理論的解釈
3.6 分子会合体の電子状態
3.6.1 二量体の場合
3.6.2 多量体の場合
3.7 状態間の遷移
3.7.1 無輻射遷移
3.7.2 電子移動反応
3.7.3 励起エネルギー移動
3.8 生体電子移動反応
3.8.1 スペシャルペアの電子状態
3.8.2 反応中心の電子移動反応
3.8.3 タンパク質中での電子移動の速度調節機構
3.9 生体励起エネルギー移動
3.9.1 紅色光合成細菌のアンテナ系での励起エネルギー移動の特徴
3.9.2 B800からB850への励起エネルギー移動の機構
3.9.3 新しい励起エネルギー移動機構(中間結合励起エネルギー移動機構)の可能性
第3章のまとめ
第3章の参考文献
コラム1 クロロフィルのストークスシフトと線幅
4.クロロフィルの生物学
4.1 光合成系での機能
4.1.1 光合成色素(アンテナ系)の概念と構成
4.1.2 アンテナ系の各論
4.1.3 エネルギー散逸
4.2 電子伝達系
4.2.1 電子伝達系の概念と構成
4.2.2 電子伝達系の構成成分(クロロフィルが関与する部分のみ)
4.3 非光合成器官(系)での機能
4.3.1 花 色
4.3.2 果実(果皮)
4.3.3 貯蔵物質
4.3.4 非光合成細菌での機能
4.4 生合成
4.4.1 合成経路
4.4.2 光合成細菌
4.4.3 シアノバクテリア
4.4.4 藻類(Chl c 合成)
4.4.5 植物(Chl b 合成)
4.4.6 他の光合成色素合成系との共役
4.4.7 色素とアポタンパク質との合成調節
4.4.8 合成経路制御の生理学的意義
4.5 分解経路
4.5.1 分解系−中間体の適切な処理
4.5.2 光阻害時のクロロフィルの代謝回転
4.5.3 中間代謝産物の(特異的)蓄積
4.6 光合成生物の多様性と色素・色素系の進化
4.6.1 アンテナ系の構成と多様性
4.6.2 進化の方向(仮説)
4.6.3 クロロフィル合成系の進化と色素系の進化
4.6.4 なぜクロロフィルが必要なのか?−クロロフィルのそもそも論−
第4章のまとめ
第4章の参考文献
コラム1 ダルトン
コラム2 第一電子受容体、第一電子供与体
コラム3 ステート変化
5.クロロフィルの分析法
5.1 分離精製法
5.1.1 各クロロフィルにおける要点
5.1.2 抽 出
5.1.3 精 製
5.2 分析方法
5.2.1 可視吸収分光法
5.2.2 質量分析法
5.2.3 核磁気共鳴法
5.2.4 振動分光法
5.3 定量法
5.3.1 生物試料からの抽出法
5.3.2 分光定量法
5.3.3 分光定量法の実際
5.3.4 低温吸収スペクトル法
5.4 蛍光測定法
5.4.1 定量法
5.4.2 蛍光スペクトルの測定法(室温)
5.4.3 蛍光スペクトルの測定法(低温)
5.4.4 蛍光スペクトルの測定例
5.5 蛍光偏光法
5.5.1 原 理
5.5.2 測定例
5.6 パルス変調時間分解蛍光法(PAM法)
5.6.1 原 理
5.6.2 応用例
5.7 円偏光二色性
5.7.1 原 理
5.7.2 測定法
5.7.3 応用例
5.8 直線二色性
5.8.1 原 理
5.8.2 測定法
5.8.3 応用例
5.9 特殊な解析法(過渡吸収法、時間分解蛍光法)
5.9.1 過渡吸収の測定例
5.9.2 時間分解蛍光の測定例
5.9.3 遅延蛍光
第5章のまとめ
第5章の参考文献
あとがき (pdfファイル)
付録
I.天然に存在するクロロフィル分子種の一覧
II.クロロフィルの吸収スペクトル
III.クロロフィル類の正確な吸収極大の位置
IV.クロロフィル類のモル吸光係数
V.分光学的手法によるクロロフィルの定量法(文献)
VI.クロロフィルに関する成書
VII.光合成生物の入手方法
生物名索引
事項索引
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三室 守
みむろ まもる
1949年 福岡県生まれ.東京大学大学院理学系研究科博士課程修了.基礎生物学研究所助手・助教授,山口大学教授,京都大学教授などを歴任.2011年逝去.主な著書に『光がもたらす生命と地球の共進化』(共著,中部経済新聞社),『電子と生命』(編集,共立出版)などがある.
垣谷 俊昭
かきたに としあき
1941年 大阪府生まれ.大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了.京都大学助手,名古屋大学助手・助教授・教授,名城大学教授などを歴任.主な著書に『光・物質・生命と反応 上・下』(丸善出版),『電子と生命』(編集,共立出版)などがある.
民秋 均
たみあき ひとし
1958年 京都府生まれ.京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了.京都大学助手,立命館大学助教授を経て現職.主な著書に『光合成事典』(分担執筆,学会出版センター),『光化学の驚異』(分担執筆,講談社)などがある.
(情報は初版刊行時のものから一部修正しております)
カロテノイド
藻類の多様性と系統
(三室:分担執筆)
生体とエネルギーの物理
(垣谷:分担執筆,品切れ)
光合成細菌
しくみと原理で解き明かす 植物生理学
植物の成長
植物の生態 (改訂版)
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