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カロテノイド −その多様性と生理活性−
Carotenoids −Biological Functions and Diversity−
元 東京農業大学教授 理博 高市真一 編集/
元 京都大学教授 理博 三室 守・
元 東京農業大学教授 理博 高市真一・
元 九州共立大学教授 医博・農博 富田純史 執筆
A5判/288頁/定価4400円(本体4000円+税10%)/2006年3月発行
ISBN 978-4-7853-5840-2 (旧ISBN 4-7853-5840-8)
C3045
自然界を彩る色素の中でカロテノイドが占める割合は非常に多く、多種多様である。植物の光合成や動物の視覚に必要不可欠であるほか、活性酸素を消去したり、がん(腫瘍)を抑制したり、免疫の働きを高めたりするなど、さまざまな機能が注目されており、現在まで、天然から750種類以上のカロテノイドが単離され、構造決定されている。
本書は、動物、植物、微生物等におけるカロテノイドのさまざまな機能と生理活性を中心に、基礎的な反応機構や天然での分布、分離・分析方法までをわかりやすく記述したカロテノイド全般にわたる入門書である。
本書に出てくるカロテノイドにはすべて統一番号を記載し、巻末にその名称と構造式を一覧にすることで、読者の便宜を図った。また、命名法やおもなカロテノイドの吸収スペクトル、参考書籍や関連ホームページの紹介、市販品の一覧、各種の索引など、付録も充実させた。
本書の姉妹書に『クロロフィル −構造・反応・機能−』(三室 守 編集)がある。
サポート情報
◎ カロテノイドについての最新情報 (2011/6/22更新)
◎ Summary of the Carotenogenesis Genes
(カロテノイドの生合成酵素,遺伝子と主な生物の一覧;表4・1の詳細と補足)[in English]
◎ 正誤表
1.カロテノイド
2.植物における機能と生理活性
3.動物における機能と生理活性
4.生合成経路とその遺伝子
5.分離・分析方法
口絵
I 動植物に分布するカロテノイドの例
II クラスタシアニンの構造、吸収スペクトル、存在状態
III カロテノイド生産大腸菌
IV シリカゲルTLCによるカロテノイドの分離例
V カロテノイドの色と吸収スペクトル
VI 光合成アンテナ複合体、反応中心複合体の結晶構造とそれらに含まれるカロテノイド
まえがき
本書を読むにあたって
1.カロテノイド
1-1 研究の歴史
1-2 日本における研究の歴史
1-3 研究の現状
1-4 カロテノイドの種類
1-5 生物界における分布
1-5-1 陸上植物
1-5-2 藻 類
1-5-3 脊椎動物
1-5-4 無脊椎動物
1-5-5 細 菌
1-5-6 菌 類
第1章の参考文献
2.植物における機能と生理活性
2-1 光合成系における生理機能
2-1-1 光合成系の概要
2-1-2 アンテナ色素タンパク質複合体の形成と結晶構造
2-1-3 カロテノイドの吸収スペクトル(励起過程)
2-1-4 励起緩和過程
2-1-5 エネルギー移動過程
2-1-6 カロテノイドからの励起エネルギー移動過程の理論的考察
2-1-7 光化学反応中心複合体における機能
2-2 保護作用
2-2-1 活性酸素種
2-2-2 一重項酸素の発生機構とカロテノイドによる消去
2-2-3 キサントフィルサイクル
2-2-4 フリーラジカル消去
2-3 二次代謝
2-3-1 特異なカロテノイドの生合成と蓄積
2-3-2 カロテノイド結合タンパク質
2-4 植物ホルモン代謝との連関
2-5 まとめ
第2章の参考文献
3.動物における機能と生理活性
3-1 生理作用
3-1-1 進化的意義
3-1-2 プロビタミンA作用
3-1-3 視物質
3-1-4 抗酸化、ラジカル消去
3-1-5 生体防御(免疫)
3-1-6 生 殖
3-1-7 疾 病
3-2 吸収と代謝
3-2-1 吸 収
3-2-2 体内移動
3-2-3 代謝反応
3-2-4 β-カロテン・ジオキシゲナーゼ
3-2-5 脊椎動物
3-2-6 無脊椎動物
3-2-7 クラスタシアニンの構造
第3章の参考文献
4.生合成経路とその遺伝子
4-1 生合成の初期段階
4-1-1 イソプレン生合成:メバロン酸経路と非メバロン酸経路
4-1-2 フィトエンの生合成
4-1-3 フィトエンの不飽和化
4-1-4 リコペン・シクラーゼの共通性と多様性
4-2 原核光合成生物の生合成経路とその遺伝子
4-2-1 紅色細菌のスピリロキサンチン経路
4-2-2 紅色細菌のオケノン経路
4-2-3 緑色硫黄細菌のイソレニエラテン経路
4-2-4 緑色糸状細菌のγ-カロテン経路、β-カロテン経路
4-2-5 ヘリオバクテリアのジアポカロテン経路
4-2-6 好気性光合成細菌
4-2-7 シアノバクテリア
4-3 真正細菌の生合成経路とその遺伝子
4-3-1 パントエアのゼアキサンチン・グルコシド生合成と遺伝子
4-3-2 アスタキサンチンとイソレニエラテンなどの生合成と遺伝子
4-3-3 他の細菌の生合成経路
4-4 藻類の生合成経路とその遺伝子
4-5 陸上植物の生合成経路とその遺伝子
4-6 菌類における生合成
4-7 動物における代謝経路
4-8 代謝工学
4-8-1 代謝工学的手法による生合成酵素の性質の研究
4-8-2 新規カロテノイドの生産、カロテノイドの大量生産
4-8-3 商業利用
4-9 まとめ
第4章の参考文献
5.分離・分析方法
5-1 抽出・精製方法
5-1-1 抽出方法
5-1-2 精製方法
5-2 同定方法
5-3 クロマトグラフィーによる分離方法
5-3-1 吸着剤
5-3-2 カラムクロマトグラフィー
5-3-3 薄層クロマトグラフィー
5-3-4 高速液体クロマトグラフィー
5-4 吸収スペクトル、分子吸光係数
5-5 極性基の化学的な検出方法
5-6 質量分析
5-7 核磁気共鳴
5-8 円偏光二色性
5-9 赤外吸収
5-10 分析例
5-10-1 全トランスβ-カロテンの精製
5-10-2 カロテンの分離同定
5-10-3 紅色光合成細菌
5-10-4 緑色植物の葉
5-10-5 ヒト血液
5-10-6 動物の臓器・組織
第5章の参考文献
付録A:IUPAC-IUB による半体系的命名法
付録B:おもなカロテノイドの吸収スペクトル
付録C:参考書籍、雑誌の総説集
付録D:WWWサイトの紹介
付録E:市販されているおもなカロテノイド
カロテノイドの名称と構造式
カロテノイド名索引
酵素名(遺伝子名)索引
生物名索引
事項索引
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高市 真一
たかいち しんいち
1951年 神奈川県生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本医科大学講師・准教授、東京農業大学教授などを歴任。主な著書に『光合成事典(Web 版)』(分担執筆,日本光合成学会)、『光合成研究法』(分担執筆、北海道大学低温科学研究所)、『藻類ハンドブック』(分担執筆、エヌ・ティー・エス)などがある。
三室 守
みむろ まもる
1949年 福岡県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。基礎生物学研究所助手・助教授、山口大学教授、京都大学教授などを歴任。2011年逝去。主な著書に『光がもたらす生命と地球の共進化』(共著、中部経済新聞社)、『電子と生命』(編集、共立出版)などがある。
富田 純史
とみた よしふみ
1948年 福岡県に生まれる。九州大学大学院農学研究科博士後期課程修了。久留米大学助教授、宮崎大学助教授、南フロリダ大学客員教授、九州共立大学教授などを歴任。主な著書に『癌』(分担執筆、中山書院)、『ビタミン研究におけるブレークスルー』(分担執筆、学進出版)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しております)
クロロフィル
光合成細菌
藻類の多様性と系統
(三室:分担執筆)
ビタミンの生物学
(品切れ中)
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