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ポピュラー・サイエンス 258
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小松左京氏 推薦! 「日本は何でも小さく、安く、使いやすくするのが得意だが、とうとう宇宙の分野にまで“日本式”が展開しそうになってきた。なんとなくワクワクする。」 |
2001年の冬に公表されるや、宇宙開発に関心をもつ多くの人に大きなインパクトを与えた「ふじ」構想。「ふじ」は、現在すでにある技術を使って、特殊な訓練を受けた選ばれた宇宙飛行士だけではなく、一般の人々でも宇宙へ行くことができることを目指したカプセル型宇宙船です。
この日本独自の有人宇宙輸送システムの検討に加わった著者が、自分たちの手で自分たちのための有人宇宙船をつくるための指針をやさしく解説します。「ふじ」構想の概略から、有人宇宙飛行の歴史をたどりつつ、スペースシャトルに代表される再利用型の有人宇宙船の問題点を検証し、今後、日本の宇宙開発はどうあるべきかを考えます。
◎ 有人宇宙船「ふじ」 オリジナル壁紙集 |
1.日本独自の有人宇宙船構想「ふじ」
2.有人宇宙船ア・ラ・カルト −宇宙飛行の歴史−
3.カプセル型宇宙船に新たな展開を −さまざまな技術で問題点を克服−
4.スペースシャトル,その高コスト構造
5.ロケット・エンジンの限界 −届かない完全再利用型の夢−
6.大気中の酸素を使え −スペースプレーンは希望になるか−
7.多段式完全再利用型の可能性について,そして結論
8.宇宙ステーションと「ふじ」
9.宇宙を巡る産業構造
10.オープンアーキテクチャーで産業活性化を
11.われらの政府と宇宙に行くための投資システム
まえがき
1.日本独自の有人宇宙船構想「ふじ」
1.1 短期間・低コストで開発可能な宇宙船「ふじ」
1.2 宇宙船としての最低限の能力をもつコア・モジュール
1.3 モジュールのドッキングで機能を拡張
1.4 コストダウンで宇宙観光を可能に
1.5 モジュールのバリエーションを増やし,さまざまな用途に適応
2.有人宇宙船ア・ラ・カルト −宇宙飛行の歴史−
2.1 熾烈な米ソの競争が宇宙船を進歩させた
2.2 最初の宇宙船「ヴォストーク」
2.3 アメリカ,反撃の「マーキュリー」
2.4 急ごしらえのピンチヒッター「ヴォスホート」
2.5 「アポロ」への道しるべ「ジェミニ」
2.6 現在も使われつづける偉大なワークホース「ソユーズ」
2.7 月面着陸を実現した宇宙船「アポロ」
2.8 とても快適になったスペースシャトル
3.カプセル型宇宙船に新たな展開を −さまざまな技術で問題点を克服−
3.1 今ある技術を取り入れて,カプセル型宇宙船に新風を
3.2 カプセル型宇宙船の疑問点その1:打ち上げ時の安全性
3.3 カプセル型宇宙船の疑問点その2:再突入加速度
3.4 カプセル型宇宙船の疑問点その3:帰還位置の制御
3.5 カプセル型宇宙船の問題点はすべて現在の技術で解決できる
4.スペースシャトル,その高コスト構造
4.1 古くなった未来の象徴,スペースシャトル
4.2 死屍累々の再利用型宇宙機の開発
4.3 今より高価だったコンピューターが再利用を後押し
4.4 整備費用が高騰したスペースシャトル
5.ロケット・エンジンの限界 −届かない完全再利用型の夢−
5.1 再利用型宇宙機を肯定的に考える
5.2 ロケットは飛行機の100倍,自動車の1万倍
5.3 ロケットの推進性能を決めるツィオルコフスキーの公式
5.4 噴射速度と質量比 −ロケット推進の性能を決める二つの数字−
5.5 限界に近づきつつある噴射速度の向上
5.6 今の技術の質量比ではペイロードが搭載できない
5.7 完全再利用型を目指して
5.8 NASDAの「ロケットプレーン」
5.9 次世代シャトル実験機「X-33」
5.10 切り札は材料 −カーボンナノチューブは未来を拓くか−
6.大気中の酸素を使え −スペースプレーンは希望になるか−
6.1 飛行機のように離陸し,飛行機のように着陸する
6.2 カギとなる技術は,スクラムジェット・エンジン
6.3 スクラムジェット・エンジン実現への道は遠い
6.4 軌道進出でスクラムジェット・エンジンが担うエネルギーは半分だけ
6.5 スクラムジェット・エンジン以外のエアブリージング・エンジン
7.多段式完全再利用型の可能性について,そして結論
7.1 NASAもシャトルの後継機構想で多段式に傾く
7.2 多段式再利用型宇宙機ならではの面倒な要素も
7.3 第1段の開発規模はコンコルド以上
7.4 「その先」に届かぬ再利用型
7.5 見果てぬ夢の技術,再利用型宇宙機
8.宇宙ステーションと「ふじ」
8.1 長期宇宙滞在を可能にする宇宙ステーション
8.2 「サリュート」シリーズ −世界各国の飛行士を搭乗させる−
8.3 アポロ計画の余り物でつくられた「スカイラブ」
8.4 「スペースラブ」−スペースシャトルに搭載する有人宇宙実験室−
8.5 設計寿命を超えて使われつづけた宇宙ステーション「ミール」
8.6 迷走を続け,今も未来が不確定な国際宇宙ステーション
8.7 「ふじ」による宇宙ステーションの可能性
8.8 国際協力の理想と実際
9.宇宙を巡る産業構造
9.1 日本の宇宙開発はマイナー産業
9.2 開発投資を国家が負担 −宇宙産業の特殊な事情−
9.3 精神の退廃を生む閉鎖的な産業構造
9.4 信頼性第一という正論が高コストの設計を蔓延させる
10.オープンアーキテクチャーで産業活性化を
10.1 パソコンの発達を支えたオープンアーキテクチャーの思想
10.2 民生用の部品と規格を宇宙機に取り入れ,設計を公開
10.3 理想的宇宙船は「スーパーカブ」
11.われらの政府と宇宙に行くための投資システム
11.1 宇宙開発に吹き付ける逆風
11.2 宇宙に無関心な日本の政治家
11.3 宇宙開発を国家が行う三つの理由
11.4 国家をあげて宇宙開発を推進する中国
11.5 日本国が投資した技術開発は死屍累々
11.6 江戸のパトロン精神を復興しよう
11.7 おわりに −一人ひとりにできること−
あとがき
有人宇宙開発に関する書籍
有人宇宙開発に関するWWWサイト
索引
松浦 晋也
まつうら しんや
1962年 東京都に生まれる。慶應義塾大学理工学部卒業、慶應義塾大学大学院メディア・政策研究科修了。「日経エアロスペース」等の記者を経て現職。裳華房メールマガジンにて「松浦晋也の“読書”ノート」を連載中。主な著書に『日本の宇宙開発最前線』(扶桑社)、『母さん、ごめん。2』『母さん、ごめん。』(以上 日経BP社)、『はやぶさ2の真実』(講談社現代新書)、『恐るべき旅路』(朝日新聞出版)、『のりもの進化論』(太田出版)、『スペースシャトルの落日 増補』(筑摩書房)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しております)
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