フレッシュマン・フレッシュウーマンへ贈る
この1冊(2002.4.1)
今年もめぐりきた新入学の季節.昨年,一昨年に引き続き,「フレッシュマン・フレッシュウーマンへ贈る この1冊」のコーナーを開設しました.大学の新1年生をおもな対象に,
「高校と大学の橋渡し」
「新しい学問分野にチャレンジ!」
という二つのコンセプトのもと,各分野の担当者が自信をもってお薦めできる書籍をご紹介いたします.
◇高校と大学の橋渡し 「数 学」
●『大学数学の基礎』 石原 繁 編/定価1540円(本体1400円+税10%)
大学で最初に学ぶ数学といえば「微積分」が代表格.しかし心配になるのが予備知識です.本書では,主に高校で課せられる内容のうち,微積分を学ぶに必要と思われる35項目を選び,コンパクトに見やすくまとめました.●『基礎科学のための 数学的手法』 小田垣 孝 著/定価1870円(本体1700円+税10%)
大学に入ると,最初にさまざまな基礎科学科目を学ぶことになります.そしてしばらくすると,そこに出てくるこれまたさまざまな数学的手法に戸惑いを感じたりもします(経験者は語る).そこで本書の登場!
力学・熱力学・電磁気学などの具体的な問題を例に,まずこれだけは押さえておくべきという数学的手法が厳選され,コンパクトにまとめられています.また,例題・ 問題も豊富に入っています.「物理学」
●『物理入門』 浦尾亮一 著/定価2640円(本体2400円+税10%)
皆さんは高校で物理を学んできましたか? 本書は,高校で物理を学んでこなかった人にも理解できることを目指して,数式よりも言葉で説明することに重点を置き,高校程度の物理のレベルから懇切丁寧に書かれた,大学における物理の基礎につながるように配慮された入門書です.高校で物理未履修の理工系の皆さん,一読されてはいかがでしょうか.●『物理科学への招待』 武田 暁 著/定価3630円(本体3300円+税10%)
自然科学,あるいは物理学への入門的な教養書です.原子論,エネルギーとエントロピー,宇宙論をはじめ,物理学的視点のもとに生物進化,遺伝,化学物質・化学反応と生命現象との関係,大脳の働き,脳と言語の関連等の広い分野の基本にも触れ,なるべく科学を総合的にみる観点を読者に提供します.●『こうして始まった 20世紀の物理学』 ポピュラー・サイエンス177/西尾成子 著/定価1540円(本体1400円+税10%)
ついに21世紀.20世紀の物理学の発展には目覚しいものがありました.いまから100年前,20世紀の物理学はどんな人たちによって,どのようにして始まったのでしょうか.その始まりの歴史を興味深く語った,手軽でやさしい現代物理学への入門書です.●『色はどうして出るの』 ポピュラー・サイエンス50/西本吉助・綿谷千穂 共著/定価1650円(本体1500円+税10%)
「言われてみれば……」.そう,発色のメカニズムについてきちんと説明をうける機会というのは,意外にもこれまで少なかったのではないでしょうか.
「色」をテーマにミクロの世界に迫る本書は,また「量子の世界」という新しい扉を開いてくれます.「化 学」
●『読み物 熱力学』 ポピュラー・サイエンス189/小出 力 著/定価1760円(本体1600円+税10%)
理解がむずかしいといわれることの多い「熱力学」.そんな熱力学だからこそ,教科書や参考書だけにたよらないアプローチもひとつのテかも知れません.
いきなりの挑戦の前に,まずはかる〜く本書をいかが?●『化学結合と反応のしくみ』 ポピュラー・サイエンス121/長谷川 正 著/定価1430円(本体1300円+税10%)
「反応式は何となく書けるようになったけれども,『なぜ』そうなるのかをもっと知りたい……」.そんな気持ちに応えてくれる一冊です.
食べ物が腐る,畳が変色する,蛍光ペンの色が消えてしまうなどなど.身のまわりの例を多くとりあげながら,反応のメカニズムに迫ります.「生命科学」
●『生命の意味 −進化生態からみた教養の生物学−』 桑村哲生 著/定価2200円(本体2000円+税10%) 最新刊
「生物学は暗記物だから…」と敬遠気味なかたも,「中学生のとき以来生物学とはごぶさた…」という方も,ぜひ本書を手にとってみてください.進化生態学・社会生物学の考え方を軸にして,生命がいかにして地球上に現れ,そして進化してきたのか,筋道立ててやさしく解説しています.キーワードは「遺伝子」と「進化」.生物学の新しい面白さに目覚めること請け合いの一冊です.●『生物講義 −大学生のための生命理学入門−』 岩槻邦男 著/定価2200円(本体2000円+税10%) 最新刊
大学での生物学の講義では,与えられた知識を教師の話から学び取る(高校までの)学習から,講師の話を契機に自分の頭で思考する(大学での)学習への転換をはかることが肝要になります.そのために,著者自身の講義風景を随所に盛り込み,また生物学がいまだ解明していないこと等もできるだけ明記するようにして著した生物学の入門書です.●『人間環境学 −環境と福祉の接点−』 遠山 益 著/定価2860円(本体2600円+税10%) 最新刊
ダイオキシンや環境ホルモン,遺伝子組換え食品など日常生活に直接関係する話題から,地球の温暖化やオゾン層の破壊など地球規模の環境問題までを幅広く解説している本です.理解を助けるために全ページ2色刷で図表も大きく載せています.●『バイオの扉 ―医薬・食品・環境など32のトピックス―』 斎藤日向 監修 ・ 森 明彦 編集代表/定価2860円(本体2600円+税10%)
遺伝子治療や遺伝子組換え食品など新聞をにぎわせている話題だけでなく,私たちの暮らしのさまざまな場面にバイオテクノロジーが応用されています.バイオテクノロジーによって何が可能となり,どのように役に立っているのでしょうか.高校で生物や化学を学ぶ機会がなかった方にも十分に理解できるようにやさしく解説した,バイオテクノロジーへの“扉”を開く初学者のための入門書です.
→ 微分積分学 → 量子力学 → 量子化学 → 有機化学 → 環境化学 → 生化学
→ 遺伝学 → 発生学 → 生態学 → 多様性生物学 → 脳神経科学 → 天文学
●『微分積分読本 −1変数−』 小林昭七 著/定価2420円(本体2200円+税10%)
微積分では具体的な計算問題を解けるようになることも必要ですが,基礎的な定理を数学的にきちんとマスターしたい,あるいはマスターする必要がある分野を目指している読者に,教科書とは別な視点から答える一冊です.●『続 微分積分読本 −多変数−』 小林昭七 著/定価2420円(本体2200円+税10%) 最新刊
上記“1変数”の続編として,主に2変数,3変数の場合を中心に解説し,ベクトルや曲面に関する基礎的な話題をまとめています.教科書からも,演習書からも得られない“数学の考え方”がイッパイ入っています.
物理学の中でも,特に「量子力学」は,誰もが魅了される分野の一つです.これを学んでみたくて物理学科を目指した人もいるのではないでしょうか.でも,その難解さのゆえに,あれやこれやと本を揃えて,結局どれも中途半端に……ということになりがちです.そんなあなたへ,定評ある大ロングセラーの書をご紹介します.どちらも,初学者向きに丁寧に解説されています.ぜひ,手にとってご覧ください!
●とにかく1冊,自分のものにしたい!という方に
『初等量子力学(改訂版)』 原島 鮮 著/定価3300円(本体3000円+税10%)
●時間をかけてじっくり学びたい方に
『基礎物理学選書5A 量子力学(I)(改訂版)』 小出昭一郎 著/定価2860円(本体2600円+税10%)
『基礎物理学選書5B 量子力学(II)(改訂版)』 小出昭一郎 著/定価3080円(本体2800円+税10%)
●『基礎化学選書12 量子化学』 原田義也 著/定価5390円(本体4900円+税10%)
化学的現象の「なぜ」をミクロから解き明かすために,どうしても必要な学問.それが量子化学です.
基本原理の十分な説明,つまずきがちな式の誘導もていねいに扱った特徴的な記述で,いまや定番とも評される一冊です.●『有機化学(改訂版)』 小林啓二 著/定価2420円(本体2200円+税10%)
コンパクトさを謳う有機化学のテキストは数多くありますが,基礎事項をもれなく収めているという点で本書の存在はズバ抜けています.
いきなりの大部のテキストにとまどいを感じたとき,本書を手にとってみてはいかが?●『化学の目でみる 地球の環境 ―空・水・土―』 北野 康 著/定価2420円(本体2200円+税10%)
化学を学ぼうとしたきっかけに「環境問題」があげられることが多いとききます.そこで本書の序文から.
「私どもは地球の像を知らなすぎる.こんなに地球のことを知らなくては,地球にやさしく,真に地球をいとおしむことなんてできっこない.」
少し寄り道の教養も必要かな? そう思えたときのお薦めです.●『生化学入門』 丸山工作 著/定価2970円(本体2700円+税10%)
大学で学ぶ生化学は難解で暗記することも多く,新入生にとっては大きな課題です.著者は長年,最先端の研究を行いつつ,多くのすぐれた研究者を育ててきました.その著者が「読めば誰にでもわかる本を」という気持ちで執筆したのが本書です.学習しやすいように全頁2色刷でB5判と大判にしてあります.
●「21世紀への遺伝学」シリーズ 全6巻/定価3190円(本体2900+税10%)〜定価3850円(本体3500円+税10%)
あらゆる生物を対象とするライフサイエンスの基礎的な学問となる「遺伝学」.その基礎的現象・理論から最近の新しい進展までを総括的に学びたいという方には,この「21世紀への遺伝学」シリーズが一番. 「基礎遺伝学」 「分子遺伝学」 「細胞遺伝学」 「発生遺伝学」 「人類遺伝学」 「応用遺伝学」 のお好きなところからご賞味ください.●『分子発生生物学』 浅島 誠・ 駒崎伸二 共著/定価2530円(本体2300円+税10%)
体つくりのための分子設計図(ボディープラン)が動物の発生の際に共通して働いていることが明らかになりつつあります.本書では,動物の体つくりの分子メカニズムについて,図解を中心にして解説し,また発生のしくみを理解する際に必要な細胞分子生物学の知識も,随所にちりばめてありますので,これから勉強する人にピッタリの入門書です.●『最新 発生工学総論』 入谷 明 著/定価2420円(本体2200円+税10%) 最新刊
クローンヒツジ・ドリーの誕生は20世紀生物学上の一大トピックですが,この技術は発生生物学の知見と応用技術の蓄積の上に成り立っています.この分野の第一人者である著者が体細胞クローンや顕微授精,性制御などの新技術を紹介します.●『はじめての えころじい』 藤井宏一 編著/定価2860円(本体2600円+税10%)〈オンデマンド版〉)
環境ホルモンやゴミ処理,地球温暖化など,関心高まる環境問題を正しく見つめるには,「生態学=えころじい」の知識が非常に大切です.生態学の入門書として好評なのが本書.病気やちり紙交換などごく身近な話題を発端にした先生と学生との会話を通して,知らぬ間に生態学の基礎や先端の話題が身に付きます.●『多様性からみた 生物学』 岩槻邦男 著/定価2530円(本体2300円+税10%) 最新刊
生物は何故こんなにもたくさんの種類がいるのか,それぞれの生物群の特徴はどのようなものか,また多様な生物を生むメカニズムは何か等,“生物の多様性”に焦点を当ててわかりやすく解説しました.生物多様性についての格好の入門書です.●『バイオディバーシティ・シリーズ1 生物の種多様性』 岩槻邦男・馬渡峻輔 編/定価4620円(本体4200円+税10%)
さまざまな分野に細分化される現代の生物学ですが,しかし,その最終目標は「生物」のもつ普遍性,多様性を明らかにしていくことに他なりません.その基礎を支え,新たに得られた知識を再統合するために必要な多角的な視点と理論を学ぶのに最適の1冊です.
同シリーズ(全7巻)の既刊本に,『2 植物の多様性と系統』『3 藻類の多様性と系統』『5 無脊椎動物の多様性と系統』があります(2003年?シリーズ完結予定).●脳とニューロンの科学 新井康允 著/定価3520円(本体3200円+税10%)
本書は,脳に関する基礎知識を整理して解説し,現在進行中の脳研究成果の一端を紹介することを目的としています.神経科学の入門書として,脳に興味をもつ生物学専攻の学生諸君や医学部,薬学部,農学部などの学生諸君のために,脳の構造と機能をできるだけ分かりやすく解説します.
●『宇宙スペクトル博物館<可視光編> 天空からの虹色の便り』
粟野諭美・田島由起子・田鍋和仁・乗本祐慈・福江 純/定価4950円(本体4500円+税10%) 最新刊
さまざまな光を使って眺めた星や宇宙の姿を,多数の写真やCG,動画によって紹介するマルチメディアCD-ROM博物館.
第3巻目の<可視光編>では,星・宇宙の観測の基礎となる可視光の初歩から,身近な色彩や風景,カメラや望遠鏡をはじめ光に関する機械や道具とその仕組み,可視光がとらえた星や星雲・星団・銀河などさまざまな天体の姿とその背景となる物理現象などを,8つの展示室に分けわかりやすく解説します.手軽な天文学辞典として使える「スペクトル用語集」も収録.
インターネットでCD-ROMの一部を「体験版」としてお試しいただけます.
<ちょっとおまけ>
● 雑誌「生物の科学 遺伝」 隔月刊 偶数月25日発売 ・ B5判 ・ 112頁/定価1760円(本体1600円+税10%)
生物科学に関する一般向け総合誌.名前こそ「遺伝」ですが,分子,細胞から遺伝,生理,行動,生態,進化,また食品や環境,医薬・健康,そして生物教育と,生物学に関係するさまざまな分野を取り上げます.将来「生物学」にかかわる分野に進もうと思っている方にとって,知識のすそ野を広げるための格好の雑誌です.是非一度,お手にとってご覧ください.
ご希望の方に見本誌を謹呈します(ご請求は「遺伝」編集部まで).
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.